不動産売却の意外なリスクを知っておこう

お金

不動産投資では、家賃収入だけではなく不動産の売却によっても利益を得ることができます。しかし、投資物件の売却には一定のリスクも存在します。今回は投資物件の売却について詳しく解説していきます。

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売却のメリット−資金回収

手持ちの不動産を売却すれば、投資資金を回収することができます。

家賃収入と売却収益で次の投資資金を確保する

投資を行う際には、その物件の利回りを考えて運用期間を考えます。例えば、購入を考えている物件の利回りが10%であったとしましょう。この物件を運用することで確実に元を取るには、

1÷0.1(利回り)=10

つまり10年かかります。このとき、10年間で投資額を回収できるため、11年目以降の運用はすべて純粋な利益を生むことになります。

もちろん実際には、空室の発生や家賃の変動により利回り通りの利益が続くとは限らないことには注意してください。

さて、10年間の運用を終えた状況で、利回りが15%の物件購入の機会を得たと仮定してみましょう。手元に資金があれば直ちに購入できますが、手元に資金がない場合にはそれを工面しなければなりません。

このとき、すでに持っていた物件を売却すれば、新たな物件の購入資金に充てられます。このように、不動産売却の最たる活用法は、より優れた投資のための資金確保にこそあります。

ただし、「売却益+運用利益>購入金額」の関係を保って売却しなければ、損失を被ることに注意しましょう。

売却収益のみで利益をあげる

また、売却のみで利益を得ることもできます。売却だけで利益を得るためには、安く買って高く売ればいいとは誰でも理解できます。

しかし実際には、物件価格の相場がそう急激に変動することはなく、余程の工夫なしには売却収益のみで十分な利益をあげ続けることは困難です。

それゆえ、売却のみで利益を得る方法はほとんど取られず、やはり賃貸運用で安定した収益を得たうえで売却を行うのが一般的です。

売却のメリット−リスク回避

売却によって、ある種のリスクを回避できるという考え方もあります。

売却によって回避できるリスクとは、物件価値下落のリスクです。物件を運用して長期間保有すれば、その期間の分だけ物件価格が下落するリスクを負っています。

物件の老朽化はもちろん、地域の開発状況、国際的な資金移動の規制状況など、さまざまな要因から不動産価格の変動が起こります。もし価値が大幅に下落すると判断できれば、不動産を売却することでそのリスクを回避することができます。

不動産の価値変化のうち、確実な影響として予想できるものが二つあります。

①土地

土地の値段が変化することによって、不動産の価値が下がります。地域の人気と土地の活用性によって土地の価格は絶えず変動します。ただし、土地の値段が暴落することはほとんどなく、緩やかな価格変動が続きます。

したがって、長期的に同じ土地を保有していた場合、緩やかに地価が下がる場合と上がる場合が考えられます。地価が下降傾向にある場合には、売却によって将来的な地価下落分の損失を回避することができます。

②建物

居住者が部屋を使うことによって物件が老朽化した分、物件の価値が下がります。また、たとえ誰も使わなかったとしても、設備そのものは劣化するので資産価値は失われ続けます。

住人によっても劣化の程度は変化しますが、年を経るにつれ不動産の価値が減少し続けることに変わりはありません。

物件そのものの価値が下がり続ければ、いずれ賃貸運用による利益も低下することでしょう。また、老朽化が進めば施設維持のための工事費用も生じます。これらの予測される損失を回避するために、売却によるリスク回避という手段を取ることができます。

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売却のデメリット−費用

物件を売却するとき、売却価額がそのまま売却益にはなりません。なぜなら、売却時には取引に伴い、主に以下の五つの費用が生じるからです。

①仲介手数料

仲介業者として物件の売却に携わった不動産業者に対して支払う金額のことをいいます。支払う金額については、以下のようにその上限が定められています。

売買価格仲介手数料
200万円以下5.40%以下(5%×1.08(消費税))
200万円超400万円以下4.32%以下(4%×1.08(消費税))
400万円超3.24%以下(3%×1.08(消費税))

 

仲介手数料の計算方法を詳しく確認してみましょう。ここでは分かりやすくするために消費税を考慮しません。

例えば、100万円の売買を行った場合は、全額に200万円以下の手数料率が適用され、

100万円×5%=5万円となります。

しかし、300万円の売買を行った場合には、総額を200万円以下の部分と200万円超の部分に分けて計算する必要があります。200万円以下の部分については5%が適用され、200万円×5%=10万円が上限額に加算されます。そのうえで、200万円超については仲介手数料率4%が適用されます。

つまり、200万円×5%+100万円×4%=14万円が仲介手数料の上限金額となります。

したがって、1,000万円の売買を行った場合には、総額を三つに分けて上限額を計算する必要があります。

つまり、200万円×5%+200万円×4%+600万円×3%=32万円となります。この計算を簡単にするため、式を数学的に処理して手数料率を3%にまとめた次の式が知られています。

仲介手数料=売買価格×3%+6万円

ただし、本来はこれに消費税が足されるため、正確には上記の式に1.08をかけた値となります。

以上の計算で求められるのは仲介手数料の上限額にすぎませんが、これまでは上限額通りに仲介手数料を設定するのが一般的でしたが、不動産販売会社の価格競争が起こりつつあり、交渉次第では仲介手数料を減らす業者も現れつつあります。

仲介手数料の下限は存在しないので、特に大きな取引を仲介してもらった場合などには、手数料の減額を交渉してみるのも手かもしれません。

②印紙代

印紙とは、不動産売買などの経済的取引に伴って作成される、財務省が発行する証票のことをいいます。その費用は、登記された契約金により変わってきます。

契約金額本則税率軽減税率
10万円超50万円以下400円200円
50万円超100万円以下1千円500円
100万円超500万円以下2千円1千円
500万円超1千万円以下1万円5千円
1千万円超5千万円以下2万円1万円
5千万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円
5億円超10億円以下20万円16万円
10億円超50億円以下40万円32万円
50億円超60万円48万円

 

基本的には本則税率が適用されますが、条件によっては軽減税率が適用されます。軽減措置が取られるのは、不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成されるものに限られます。

③抵当権抹消登記費用

金融機関からお金を借りる際に、物件や土地を担保として抵当に入れるのですが、その抵当状態を解除することを抵当権抹消登記といいます。

この抵当権抹消登記を行わないと物件の売買を行うことができません。この処理の費用として、主に登録免許税と司法書士に対する報酬の二つが必要になります。

抵当権抹消登記に対する登録免許税は、不動産の個数×1,000円となっています。

物件の数ではない点に注意が必要です。つまり、一軒家なら土地と建物の二つに対して発生し、2,000円かかることになります。

司法書士報酬は、依頼する事務所によって変わってきますが、およそ5,000円から1万円が相場となっています。

④ローン返済

物件を売却するにあたって、もちろんのことではありますが、ローンを完済する必要があります。先述の抵当権抹消登記を行うためには、ローンが完済されていなければならないからです。

ローンの返済にかかる費用は、ローンの残高に加えて、繰り上げて返済を行うことによって生じる手数料が加算されます。この手数料は一般に5,000円程度とされています。

⑤譲渡益課税

物件の売買を行って利益を得た場合、その利益である譲渡所得に対して税金が発生します。利益がでなかった場合には、もちろん税金はかかりません。

譲渡所得に対する税は所得税と住民税の2種類です。また、その税率は物件を所有していた期間によって変動します。

期間所得税住民税
短期譲渡所得課税譲渡所得×30%課税譲渡所得×9%
長期譲渡所得課税譲渡所得×15%課税譲渡所得×5%

 

短期譲渡所得、長期譲渡所得は物件の所有期間に応じて、いずれを適用するかが決まります。

短期譲渡所得:売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下

長期譲渡所得:売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超

また、課税譲渡所得は、譲渡所得の総額から特別控除を差し抜いた金額のことを示します。つまり、特別控除が大きければその分だけ税金も安くなります。

いくつかの特例がありますが、たとえば所有期間が10年を超えている場合は以下のような特別措置が使えます。

譲渡所得額所得税住民税
6,000万円以下課税譲渡所得×10%課税譲渡所得×4%
6,000万円超(課税譲渡所得-6,000万円)×15%+600万円(課税譲渡所得-6,000万円)×5%+240万円

 

他には、居住用住宅の買換えによる特例などがありますが、投資用住宅とは関係しないため、詳しい紹介は省きます。

売却のデメリット−流動性

売却のデメリットとして、流動性リスクが知られています。流動性とは取引により所有者が変わりやすい度合いを意味し、不動産は買い手がつきにくいことから、流動性が低い投資として知られています。

不動産一軒の価格が高いため、購入者側も購入に慎重になることで流動性の低下が発生していると考えられています。

一般的に言って、流動性は買い手の規模に左右されます。買い手が多くつく物件ならば、取引が決まるまでの時間も短く、流動性は高くなります。

逆に買い手が少ない物件ならば、投資資金を確保しようと物件を売りに出しても、なかなか買い手が決まらずに資金確保に失敗し、次の物件購入も先を越されてしまうような事態が起こります。

また、買い手が決まらない以上、少しでも早く資金を得るために物件の売値を安く設定して売ろうとしてしまい、買い叩かれてしまう危険性も生じます。

こうした流動性リスクを回避するためには、買い手がすぐに決まる物件を意識して所有する必要があります。買い手がすぐに決まる物件とは、つまり「自分も買いたくなるような優良物件」であり、高い利回りや高水準の設備維持状況、空室率の低さなどを兼ね備えた物件を差します。

これらを兼ね備えた物件は、自分自身が手放すのも惜しい物件に違いありません。しかし、より優れた投資のための資金確保として売却するなら、流動性リスクを回避して直ちに資金調達することができる優れた資産となります。

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売却時に気をつけなければならないことは?

気を付けるべきポイントは以下の三点です。

①価格

物件の時価を判断するのは、素人には困難です。そのため、不動産業者に依頼して査定を行ってもらいます。この際に、できるだけ多くの不動産業者に査定を依頼することがポイントです。

それぞれの査定結果を比較して、自分の物件のおおまかな価格を把握することができます。ひとつの不動産業者の査定を無批判に信用するより、数件の査定結果から平均的な価格を見積もる方が、確実な情報と言えます。

家をより高く売るには正確な情報が必要なほか、この依頼を通じて良い不動産業者を探すこともでき、良い取引に繋がります。

②買い手との交渉

買い手が現れたら、売買交渉が始まります。買い手はできるだけ安く買いたいと思っているので、値下げ交渉を持ちかけられることでしょう。流動性リスクを思えば、ここで突き放して買い手を失うのは重大な失敗です。

値下げ交渉にも多少は応じるくらいの気持ちで接することで、相手側に好感を持ってもらうことが重要です。そのためにも、あらかじめ値下げ交渉を考慮して、売値の最低目標を価格設定とは別に設けておくのも一つの手かもしれません。

③売却までの期間

販売相手が決まったとしても、諸手続きが必要なため、実際に決済(物件の引き渡し)を行うまでには数カ月を要します。

つまり、すぐに現金が手に入るわけではありません。早急に現金が必要なため、売値を安く設定してでも売り急ぐという事態に陥らないように、あらかじめ計画性をもって売却を行うべきでしょう。

まとめ

以上、不動産の売却のメリット・デメリットについて見てきました。長い目で見れば、不動産は、いつかは売却しなくてはならないので、売却時期がポイントとなります。その際に考慮すべきなのは、売却が本当に利益に繋がるかということです。

手続きに必要な経費や税金をあらかじめ詳細に計算し、その物件から確実に利益が生み出せる売却計画を考える必要があります。

物件の査定や買い手の仲介など、必ず不動産会社の助けを借りることになるため、信頼できる会社を見つけて、協力して売却を行うようにしましょう。

また、失敗しないためには要因をしっかりと抑え、対策を打っておくことは重要です。そのあたりを整理した記事もご参照ください。
参考記事:不動産投資で失敗に陥ってしまう原因と回避する方法とは?

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不動産投資TIMES(プロパティエージェント)編集部

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