オーナーチェンジ物件の魅力と知らないと怖い注意点

オーナーチェンジ

不動産投資用のマンションやアパートを購入する際、「オーナーチェンジ」という選択肢があります。
今回は、「オーナーチェンジ」に伴うメリットとデメリットの説明と、オーナーチェンジによる不動産投資の注意点を整理します。

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オーナーチェンジ物件とは?

「オーナーチェンジ」とは、すでに入居者が賃貸契約を結び入居している状態の不動産を売買することです。
まさしく、不動産の賃借人はそのままにして不動産の所有者である「オーナー」だけが「チェンジ」する不動産取引なのです。
不動産の購入と同時に旧オーナーと入居者の賃貸契約が引き継がれるため、その契約状況によってさまざまなメリットとデメリットが生じる点に注意が必要です。

オーナーチェンジ物件で引き継ぐ権利と義務は?

オーナーチェンジについて具体的に定める法律は、借地借家法第31条で、

建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

とあります。
つまり、建物のオーナーが替わると、旧オーナーと借主が結んだ賃貸契約が新オーナーにそのまま引き継がれるのです。
※民法は平成29年6月2日に改正法が公布され、公布日から3年以内には施行されることが決定しています。そのため、このあと出てくる(  )内には改正前と改正後の両方の情報を記載しています。

引き継がれる権利

「オーナーチェンジ」でも、建物の所有権を得ることは他の不動産売買と変わりません。
しかし他の不動産売買とは異なり、入居者とすでに賃貸契約を結んだ状態で不動産を購入することができます。
この賃貸契約はオーナーチェンジをした後も、新オーナーと入居者の間で有効な契約として継続されます。
したがって、建物に関する貸主としての権利を引き継ぐことができます。
これには、

入居者に賃貸料を支払ってもらう権利(民法第601条・改正民法第601条)
契約終了時の建物を返還してもらう権利(民法第597条・改正民法第601条)
契約終了時に入居者に原状回復してもらう権利(民法第598条・改正民法第621条)

以上の3つが含まれます。

引き継がれる義務

一方で、旧オーナーと入居者の契約が引き継がれることによって、旧オーナーが結んだ契約に則った義務を負わなくてはなりません。
義務には具体的に、

建物を入居者に使わせる義務(民法第601条・改正民法第601条)
建物の修繕をする義務(民法第606条・改正民法606条)
入居者の退去時に敷金を返還する義務(判例のみ・改正民法第622条)

以上の3つがあります。
また、この契約は「オーナーチェンジ」を理由に解約・変更はできず、他の賃貸契約と同様に解約・変更には正当な理由を他に必要とします。

平成29年6月2日公布の改正民法による変更点

現在施行されている民法は平成29年6月2日に改正されることが決まり、この改正民法は公布日から3年以内には施行されます。この民法改正では、賃貸に関する基本的な法律に改正が加えられました。
次に、オーナーチェンジで引き継がれる権利と義務に関する法律が民法改正によってどのように変更されたのかを、特に「敷金」と「原状回復」の二点に焦点を当てて整理します。

ひとつめの大きな変更は、敷金についての条項が増えた点です。
加えられた条項はいささか長いので、ここでは要点をかいつまんで説明します。
まず、敷金についての定義が以下のように定められました。

いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。

また、敷金の返還については、賃貸物の返還をしたとき、または賃借人が賃借権を適法に譲り渡したときに、賃借人が賃貸人に負う債務分だけ差し引いた残額を返還することが定められました。
そして原状回復についても明確な規定が定められました。
今までの民法では、

第五百九十八条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。

という表記のみでしたが、新民法では“貸借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた貸借物の経年変化を除く。)”について原状に復さなければならないこと、この損傷が貸借人の責任によるものでなければ原状回復の義務は生じないことが明記されました。

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オーナーチェンジ物件を選ぶメリットはあるの?

それでは、新オーナーにとってオーナーチェンジ物件はどのようなメリットを持つのでしょうか。

入居者募集に必要な手間が省ける

オーナーチェンジ物件にはすでに入居者がいるため、新規に入居者を募集する必要がないという点がカギになります。
入居者を新たに探す際には以下のような様々な手間やコストがかかりますが、これらが全て解決した状態で物件を購入できるのです。

・中古物件である場合のリフォーム
・入居者募集をかける広告の作成または依頼
・適切な賃料、契約内容の設定
・入居者の審査

以上のステップでオーナーが判断ミスをすると、入居者を得られないことさえあります。特に賃貸経営初心者にとって、入居者がすでにいる状態からのスタートは安心できるものでしょう。

購入後、すぐに家賃収入が得られる

入居者がすでにいるということは、購入した月から家賃収入を得られるということです。
オーナーチェンジ物件でない場合、前述した数々のステップを踏み、入居者が現れるのを待たなければなりません。
その期間は最悪の場合数ヶ月から1年かかってしまうこともあり得ます。そしてその間はもちろん家賃収入を得ることができず、費用のみが掛かってしまうのです。
こうした期間が生じないことは、オーナーチェンジの大きな利点と言えます。
家賃収入が予め分かっているため、利回りの計算がしやすく、投資計画を立てやすいのです。

相場より安い値段で購入できることがある

オーナーチェンジ物件の賃貸料が相場より低く設定されていた場合、得られる家賃収入が相場よりも少なくなってしまいます。これはデメリットのようにも思えますが、家賃収入が少ない物件ならば、物件自体の価格も安く設定されます。
これをオーナーチェンジによって安く購入しておき、引き継いだ入居者が退去すれば、この性質はメリットに転じます。

新オーナーが賃貸料を相場に合わせて再設定することで、購入当初に見込まれた利回りよりも良い利回りを期待することができるのです。
また、入居者の退去後であれば物件自体の価格も相場程度に戻せるので、このような物件はお買い得と言えます。賃貸料が相場より低く設定されていた場合には、むしろメリットを得られると覚えておきましょう。

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オーナーチェンジ物件のデメリットと注意点

すでに入居者がいるということはデメリットにもなりえます。具体的なデメリットを見ていきましょう。

契約の変更がなかなかできない

「オーナーチェンジ」では、上述の通り物件購入をする前からいる入居者との契約も引き継がれます。
このため新オーナーが結んだ契約でないにも関わらず、契約によって生じた義務も負わなくてはなりません。これらの契約は正当な理由がなくては破棄、変更できないので、不動産の所有権を得ても物件をオーナーの思い通りにすることはできません。
たとえば、賃貸料の変更や入居者の立ち退き要求をすることは容易ではありません。
これが新オーナーと入居者の間で、トラブルの原因となることもあります。

建物についての調査が自由にできない

また、入居者がすでにいるということは、物件はすでにその人のプライベートな空間となっていることを意味します。
このため内装の見学、建物自体の老朽状況などの事前調査が難しくなります。これらの調査は物件の瑕疵の有無を知るために行われ、物件購入における重要なステップです。
瑕疵とは建物自体についた傷や欠陥で、物件の価値を下げる要因を指します。
法律に定められた期間以内に瑕疵を発見すれば、法律によって定められる瑕疵担保責任が適用され損害賠償を請求できます。しかし入居者がいることで、調査できないまま期限を過ぎてしまう可能性もあります。
事前調査をスキップすることには、リスクが伴われるのです。

入居者の属性を事前に把握することが難しい

入居者がどんな方であるかは、オーナーにとって大きな関心事項です。
場合によっては家賃滞納をする方や近隣住民とトラブルを起こす方もいらっしゃいます。
このような事態はオーナーとしてはなんとしてでも避けたいところです。オーナーチェンジ物件でない場合、管理委託するだけで保証会社によって入居者属性の審査が行われ、問題のある入居者を避けることができます。
一方、オーナーチェンジ物件では物件と入居者がセットで引き継がれます。
当然、物件の購入を決めてしまうと入居者を選ぶことはできないうえ、物件購入の際に入居者について知ることも困難です。入居者にしてみれば、オーナーが替わることへの関心は小さいので、わざわざ機会を設けて新オーナーと会うとは期待すべくもありません。
そこで、物件を売り出す旧オーナーの情報に頼らざるを得ませんが、旧オーナーにとって不利な情報はなかなか提供されません。

悪質なオーナーチェンジ物件が紛れている

オーナーチェンジ物件の中には新オーナーを騙すことで儲けを出そうとする悪徳な物件もあるようです。
その具体的な手口の一例として、さくらの入居者を雇い、良い条件での契約ができているように見せかけ、購入後しばらくすると退去してしまうというケースがあります。
さくらの入居者が高額な賃貸料を支払う契約を結ぶことで、利回りの良い物件であると購入者を騙し、物件の価値を吊り上げるからくりです。

また、詐欺でなくても、入居者が割高な賃貸料を支払っていて、特に入居者の居住年数が長い場合は注意が必要です。
建物は年数が経つにつれて老朽が進み資産価値も落ちます。退去後は同じ賃貸料で入居者を募集できず、賃貸料の値下げをしなくてはならない可能性があります。

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良いオーナーチェンジ物件を見つけることは可能?

さて、これまでオーナーチェンジのメリットとデメリットを見てきましたが、ここでもう一度表にまとめてみます。

他の物件との差異 メリット デメリット
・入居者と賃貸契約を結んだ状態の物件を購入することになる。 ・入居者の募集にかかる費用や手間が除ける。
・購入後にすぐに家賃収入を得られる。
・賃料の設定のされ方によっては物件を相場より安く購入できる可能性がある。
・賃料の設定や契約内容の変更を入居者が退去するまで自由にできない。
・建物の状態を確認することが難しい。
・オーナーチェンジを利用した悪質な商法の可能性もある。
・入居者を選ぶことができない。

 

オーナーチェンジ物件は以上のように多くのリスクを内包しています。これらのリスクを取り除くためには、物件にまつわる情報をできる限り多く集めなくてはなりません。具体的にどのような情報を集めることが望ましいのか、確認しておきましょう。

契約内容を調べる

オーナーチェンジでは自分で入居者との契約内容を決めることはできませんが、契約内容を予め調べることはできます。
契約書には、賃貸料の設定はもちろん、保証人の有無、敷金の扱いなど、トラブルの元となる重要な情報が載っています。
細心の注意を払って読み、不安な点については旧オーナーに問い合わせたうえで、しっかりと記録を残しておくことをおすすめします。

件に足を運び調べられることは調べる

内装の見学はできなくても物件について得られる情報はあります。
外装や住人の共有スペースを見れば、その建物の管理状況を想像することができます。また、騒音、日当たり、近隣の施設などの周辺環境も現地に赴くことで知ることができます。

過去の経営状況を調べる

現在の契約者だけではなく、これまでの経営を調べることも重要です。
物件や入居者について、追加的な情報を把握することができます。前述したように入居者の入居期間の長さは退去後の家賃を考慮するうえで必要な情報となります。また、修繕の履歴を見ることで建物の管理状況を推測することもできるのです。

物件の売り出しの理由を調べる

もし仮にあなたが投資したいと思うほど良い物件だった場合、それほど良い物件をなぜ旧オーナーが手放してしまうのかを知ることが重要です。
旧オーナー自身にまつわる理由であれば、ひとまず心配はありません。
しかし、新オーナーより旧オーナーのほうがその物件について多くの情報を持っていることを忘れてはなりません。あなたの知らない重大な欠陥が原因であることも考えられるので、不審な点がないか吟味する必要があります。

まとめ

オーナーチェンジによる売買は不確定要素を含みます。
たしかに利回りの計算がしやすく、投資計画を立てやすいのですが、甘い話には裏があるかもしれません。
オーナーチェンジを検討する際には、できる限り多くの情報を集め、リスクをしっかりと取り除いた上で、投資を考える必要があるのです。