2017.05.01

ITによってマンション経営はどう変わる?不動産テック(ReTech)について徹底解説!

ITによってマンション経営はどう変わる?不動産テック(ReTech)について徹底解説!

不動産テック(Real Estate Tech)とは

近年、話題になることが多くなってきた「不動産テック
不動産テックは、ITを活用して不動産業を発展させようとする企業やそのサービスの総称で、Real Estate TechやReTechとも呼ばれます。
日本でも革命的な流れがきているFinTech(金融×テクノロジー)をはじめ、AdTech(広告×テクノロジー)・EdTech(教育×テクノロジー)・HealthTech(医療×テクノロジー)・AgriTech(農業×テクノロジー)などと同様、「不動産」と「テクノロジー」をかけ合わせて既存産業に新たなイノベーションを起こそうというものです。

不動産業界は、今でも電話やFAXが多用されるアナログな業界だといわれており、世界的に見てもデジタル化が遅れている産業の一つです。
また、業者と消費者の不動産取引においても、売買・賃貸を問わず消費者が持つ情報が圧倒的に少なく、取引の流れが不透明だという見方がありました。
そんな業界に変化をもたらそうとしているのが不動産テックです。

不動産テックの流れは米国からきており、米国の投資データサービス会社CB Insiteによると、2012年以降不動産テック企業への投資が年々過熱しており、2016年の不動産テック企業の資金調達額は26億ドル(約2,835億円)にものぼるとのこと。
2017年にはその勢いがさらに加速するとみられています。

ここ数年、米国だけでなく世界各国で不動産テックに参入するスタートアップ企業が増加しており、日本でも徐々に不動産テック熱が高まってきています。

日本の不動産業界において、IT化の遅れや情報の非対称性に加え今後引き離せなくなってくるであろう人口減少や空き家問題などの課題も不動産テックが解決のカギになってくると思われます。

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不動産業界で活用されるテクノロジー

不動産テックの流れに乗るためには、人工知能(AI)やビッグデータ、IoTなど新しいテクノロジーを活用し、既存サービスとは異なる付加価値の創出を図っていく必要があります。

不動産テックが先行している海外の事例では、大きく分けて下記のようなカテゴリでのサービス創出がみられています。

・プラットフォームやクラウドの活用
・ビッグデータ解析やAIの活用
・業務効率化

プラットフォームやクラウドの活用では、不動産の売買や賃貸、投資における取引などを低コストかつスピーディに提供するためのサービスや、それらに関わる人や場をマッチングするサービスが展開されています。
ビッグデータやAIの活用においては、物件や地域など不動産に関連する膨大なデータを解析し、評価情報を提供するといったサービスがみられます。
また、不動産業界の脱アナログの一端を担う、アプリケーションやツール活用による不動産業務効率化や生産性向上のためのサービスも生まれています。

海外における不動産テック企業・サービス

では、実際に海外ではどのような不動産テック企業が注目されているのか、老舗の大手企業からスタートアップ(ベンチャー)企業まで、前述のカテゴリ別にご紹介します。

プラットフォームやクラウドの活用

プラットフォームやクラウドを活用したサービスを使うことで、今まで不透明な要素の多かった不動産売買、賃貸、投資などに関する情報を見えやすくし、それらの取引に関わる人や場を低コストかつ迅速にマッチングさせることが可能になっています。

Hightower

投資用不動産管理プラットフォームの「Hightower」は、テナント管理や空室マネジメントなどのアセットマネジメント業務を総合的に管理するサービスを提供し、不動産オーナーと不動産ブローカー双方に対してクラウドサービスを展開しています。

CompStak

不動産データベース開発企業「CompStak」。正確で透明性のあるデータが、より良くより迅速な商業用不動産取引につながるとして、従来は不動産業界の関係者しか知り得なかった賃貸オフィスビルや商業施設の成約情報を匿名で相互に共有できるサービスを提供しています。

Go-PopUp

ドイツの「Go-PopUp」は、ポップアップストアのためのオンラインマーケットです。保険料を含めた価格で店舗スペースを短期間から貸し出すサービスを提供しており、エリアや値段、広さなどから条件に合うものを検索、オンラインで予約や問い合わせをすることも可能です。

LendInvest

イギリスのP2P融資プラットフォーム「LendInvest」。不動産テックとフィンテックを融合させ、短期不動産ローンを探している貸し手と借り手を結びつける短期不動産融資・投資のオンラインマーケットプレイスを提供しています。情報の透明性が高く、収入や利益、貸し出し総額、平均収益率などをウェブ上でみることができます。

ビッグデータ解析やAIの活用

ビッグデータやAIを活用しているサービスでは、物件や地域の評価情報など膨大なデータを集約・分析・価値付けすることによって正確性の高い情報を得ることができます。それを既存のプラットフォームと掛け合わせることで、不動産ごとの比較、投資判断などがスピーディかつ容易になりました。また、従来にないマーケティング手法や高度な投資戦略のサポートを実現するようなサービスも出てきています。

Zillow

不動産テック企業の中では老舗となる米国の「Zillow(ジロウ)」。不動産の賃貸・売買に関する情報提供を目的としたサイトの運営を主とし、米国最大手の不動産検索サイトとなっています。住宅の登記情報や自治体の統計データをもとにビッグデータとAIを駆使し、米国内1億1,000万件以上の住宅価格を推計したZestimateというサービスを提供しています。Zestimateによって、該当物件の価格・賃料の推移や売買履歴を閲覧することができるようになり、不動産購入希望者は投資における買い時・売り時の判断が容易になりました。

Redfin

米国のオンライン不動産情報サイト「Redfin」。前述のZillowや他情報サイト同様のサービス展開を行っていますが、Redfinはもともとが不動産仲介会社という点で異なります。不動産仲介会社+不動産情報サイトということで、オンライン上の物件情報検索と合わせて、ユーザの物件探しをエージェントがサポートするという、テクノロジーと従来型の不動産事業を合わせたサービス展開で事業の拡大を図っています。

Smart Zip

米国の「Smart Zip」は、予測マーケティングプラットフォームSmartTargetingや自動化広告ツールを提供する企業。物件ごとに家と居住者に関する何千もの属性データを集め、ビッグデータ解析により予測分析を行い、半年から1年以内に売りに出されると予想される不動産の情報を不動産事業者向けに販売するサービスを展開しています。

OpenDoor

不動産取引プラットフォームを提供する米国の「OpenDoor」は、独自の価格査定の仕組みで今までになく短い期間と簡便性での不動産売却サービスを提供しています。ユーザが不動産を売りたい場合、OpenDoorが売却価格を提示、価格に納得がいけばユーザはOpenDoorに不動産を売却。その後OpenDoorは物件を修繕し、他ユーザに売却し利益を得るという仕組みです。スマートロックとセキュリティカメラの活用により、セルフサービスの不動産見学も展開しています。

業務効率化

ツールやアプリケーションを使い不動産に関わる業務の効率性・生産性を向上させるサービスもでてきています。
ITの活用により、不動産関連業務に携わるプレイヤーの工数・コスト削減はもちろん、賃貸・売買・投資をするユーザにとっても利便性向上や従来に比べ安価に不動産関連取引が行えるサービスが増えてきています。

DroneDeploy

「DroneDeploy」は、ドローンから得られたデータを自動処理するソフトウェアなどを開発する米国のスタートアップ企業です。
提供するドローン技術が非常に汎用的で、建設や測量現場において管理を自動化するなど幅広いサービス展開を行っています。

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日本における不動産テック企業・サービス

まだまだ海外には及ばないものの、日本国内においても不動産テック関連のサービスやベンチャー、スタートアップ企業が増えてきています。

プラットフォームやクラウドの活用

おうちダイレクト

Yahoo!不動産とソニー不動産が共同で企画・運営を行う「おうちダイレクト」。不動産会社の営業や干渉を介さず、売却検討中のユーザと購入検討中のユーザを直接マッチングさせるプラットフォームを提供しています。

Spacee

貸し会議室・レンタルスペースの予約サイト「Spacee(スペイシー)」。空室が続くマンションの一室や居酒屋の個室など、遊休スペースを会議室として貸し出せるシェアリング事業を展開しています。貸す側・借りる側の金銭的ハードルが低く、新しい不動産運用の形としてサービスを拡大しています。

TATERU

アパート経営プラットフォーム「TATERU(タテル)」。アパート経営希望者にオンライン上で土地を紹介し、デザインアパートの提案・建築・賃貸管理のワンストップサービスを提供しています。従来の売買モデルである非公開の土地をディベロッパーが仕入れて転売するという2次流通型ではなく、業者ルートから土地を直接仕入れる1次流通型をとっています。

ビッグデータ解析やAIの活用

HOME’Sプライスマップ

「HOME’Sプライスマップ」はLIFULL(ライフル)が提供する、マンションの参考価格を地図上で調べることができるサービスです。不動産情報サイトHOME’Sに掲載された中古物件の募集情報データベースと自社開発のロジックをもとにビッグデータ解析による参考価格の提供を行っています。

IESHIL

リブセンスの中古マンションリアルタイム査定サービス「IESHIL」。不動産の売買・賃貸履歴などビッグデータを活用した独自のリアルタイム査定システムにより、物件の市場価格や価格推移、推定賃料を公開しています。また、ユーザのニーズに合った不動産会社を紹介するAIアドバイザーサービスも提供しています。

Gate.

リーウェイズが提供する投資用不動産取引プラットフォーム「Gate.」。4,000万件以上の物件データを収集し、ビッグデータを活用して不動産投資の分析シミュレーションを行う人工知能Opus(オーパス)を開発。最大化された収益分析のもとで投資不動産取引を行えるサービスを展開しています。

マンションマーケット

中古マンション売却サービス「マンションマーケット」。マンションマーケットではマンションスコアという独自算出の数値を使って物件の査定が受けられるオンラインサービスを提供しています。また、スマートフォンによる取引ツールの提供、仲介手数料の定額化なども展開しています。

業務効率化

Nomad

イタンジが提供する無店舗型のインターネット不動産仲介サービス「Nomad(ノマド)」。従来の不動産会社のような店舗をもたず、物件の取引や賃貸といった作業を全てネット上で実施するネット専業の不動産会社です。ITによる業務効率化などコストを抑えた運営によって仲介手数料などユーザが負担する金額を安く抑える仕組みをとっています。

ライナフ

不動産管理向けシステムやハードウェアのサービス展開をしているベンチャー企業「ライナフ」。内覧希望者に電子キーを発行、インターネット上で受け渡すことができるスマート内覧や、スマートフォンで開錠・施錠を可能にするスマートロックNinjaLockなどを提供しています。

Akerun

フォトシンスが提供する入退室管理システム「Akerun」。鍵の開け閉めから時間限定の鍵の共有や鍵使用者の通知がスマートフォンでできるIoTサービスを提供しています。

不動産テックによって変わる不動産投資市場の今後

海外・日本国内含め、利便性・汎用性が高くコスト競争力があり、新しい付加価値を創出するさまざまな不動産テックサービスが登場している中で、不動産投資市場は今後どのように変化していくのでしょうか。

金融業界では、フィンテック企業の勢いにより「銀行がなくなる」とまでいわれたことがありました。
数年後はどうなるかわかりませんが、現状、銀行の地位が脅かされるほどの事態には陥っておらず、むしろ、銀行とフィンテック企業がうまく共存していく方向に進んでいるようにも感じられます。

不動産業界も同様に、今まで手の届かなかったデジタル領域に不動産テック企業・サービスが切り込んでいくことで、従来の古い慣習や不透明な情報流通が改善されていくことが期待されています
そんな中で、従来型の事業を展開する既存企業は、優れたテクノロジーをもつスタートアップ企業とオープンイノベーションによる提携などの方法で共存共栄していく必要があるでしょう。

国内不動産テックでは前述のとおり、不動産仲介会社や中古物件を売買しようとする個人だけではなく、不動産投資家を対象としたサービスも続々と登場しています。
現状はビッグデータ解析やAIによる物件の価格評価サービスが多く、日本の不動産テックはまだまだ黎明期といえますが、新しいサービスを知っているかどうかもこれからの投資を左右するカギとなってくることが予想されます。

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