不動産投資信托とは?初心者でもわかる不動産投資の仕組みと注意点

資産運用、特に不動産への投資と聞くと小難しいイメージがあるかと思いますが、初心者でも馴染みやすい不動産投資信託というものも存在します。この記事では、初心者の方にも分かりやすく、“不動産投資信託とは何か”を仕組みやメリットも併せてご紹介していきます。

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不動産投資信託とは

不動産投資信託とは、元はアメリカで生まれた金融商品で、多くの投資家から集めた資金を基に、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する仕組みとなっています。
Real Estate Investment Trust (不動産投資信託)」の頭文字をとり、REITとも呼ばれていますが、アメリカと日本では仕組みが少し異なっているので、差別化の意味も込めて日本のREITを特にJ-REITと呼んでいます。

REITは投資信託の仲間で、証券取引所に上場しており自由な取引が行われているのが特徴です。アメリカでは1960年代から始まっていますが、日本では2000年代頭から導入され、比較的新しい金融商品と言えます。

簡単にわかる!不動産投資信託の仕組みとは

まず、J-REITは不動産投資法人という法人の形をとっていることを抑えておきましょう。
株式会社が資金調達のために株式を発行するのと同様、J-REIT(不動産投資法人)は投資証券を発行し、投資家はこの投資証券を購入します。この投資証券は、株式同様証券取引所で売買が可能です。投資証券によって投資家から集めたお金で、J-REITは不動産などのポートフォリオに投資し、不動産の売買による収益や、購入済み物件から得られる賃料収入を投資家に分配します。
投資家が株券を購入して配当金を得るのと同じ構図だと考えればわかりやすいでしょう。

J-REITは法人なので、金融機関にお金を借りたり社債を発行したりすることも可能です。

しかし実際に資産の運用や保管を行うことは法律で制限されているために、業務を複数の会社に委託しています。
実際に資産の運用は運用会社に、保有資産の保管は保管会社に、その他事務は事務の受託会社に委託しており、J-REITの中身としてメインになるのは役員会と投資主総会です。役員会は株式会社でいうところの取締役会に近いもので、法人の運営方針等についての意思決定機関であり、投資主総会は株主総会同様、投資家が役員会に意思表示ができる場となっています。

J-REITの仕組み-300x169 不動産投資信托とは?初心者でもわかる不動産投資の仕組みと注意点図 J-REITの仕組み
引用:一般社団法人投資信託協会「J-REITの仕組み」

不動産投資信託はなぜ高利回り?

よくJ-REITは利回りがいいと言われますが、法律によって、J-REITが収益の90%以上を分配金(株式でいう配当金)に充てるなどの一定の条件を満たした場合、法人税がほとんどかからないということが定められているため、法人の節税の意味も込めて投資主に多く分配金が渡るようになっているのです。

また、J-REITの主要事業は賃貸事業である点も理由の一つでしょう。テナントや住人がいる限りは一定の収入の確保が見込めるうえに、J-REITは空室問題などのリスクを回避するために複数の不動産に投資をしています。このように、J-REITや運用会社も適切なリスク分散やリスク回避を行うことで、投資主への安定的な分配が実現しています。

不動産投資信託のメリット・デメリット

メリット

J-REITを運用する会社に投資をするため、自分の負うリスクは比較的低く、比較的高い利回りで安定的な分配金を得ることができます。さらに銘柄によっては少額から投資が可能です。その他にも、株式同様、市場取引がされるので流動性が担保されていることも魅力的です。

また、不動産投資のプロが運用を担当しているという点を大きなメリットです。サラリーマン投資家が常に不動産市場の動向を把握し、常に利益を出し続けるために適切な意思決定をしていくことは簡単なことではありません。その点で、不動産投資の経験豊富なプロが運用しているJ-REITは、自分自身の手間も省け安心感も担保されています。

デメリット

元本保証がない商品であることや、分配金も固定的なものではないこと、投資先の投資法人が倒産する恐れもあること、災害などで投資物件が損害を受けると価値が著しく下がることなど、メリットの一方でデメリットがあることも事実です。デメリットも踏まえたうえで活用するかどうかの判断をしましょう。

不動産市場のリスク

不動産の賃貸市場や売買市場、金利環境、経済情勢といったマクロな外部環境の変化による損失リスクです。
J-REITが保有する物件の価値が低下したり、賃料が下がったりすることで分配金などが影響を受ける可能性があります。

しかし、不動産投資をする以上はこのような不動産市場による損失リスクは常に向き合わなければなりません。現物の不動産投資を行う場合も同様のリスクを背負うことになります。

金利変動リスク

J-REITは一般の投資家から資金を募る他、金融機関から資金調達することもあります。
そのため、金利変動によってJ-REITの収益性も変化するため、結果的にリターンが少なくなってしまうリスクもあります。
こちらについても、不動産投資ローンを利用して現物の不動産投資を行っている場合、金利変動によって損失を被るリスクは発生します。

災害リスク

投資対象の不動産物件が災害に見舞われ、物件そのものが大きな損害を被ってしまう可能性があります。しかし、現物の不動産投資においても同様のリスクはあります。J-REITはリスクが分散されているため、その面では現物不動産投資よりも勝っている部分であるといえるでしょう。

上場廃止リスク

証券取引所で扱われているため、現物不動産投資とは違い、REIT独自のリスクですが、証券取引所が定める上場基準に抵触し、上場廃止になった場合には取引そのものが難しくなり、大きな損失を被るリスクがあります。

運営リスク

J-REITは法人ですので倒産リスクがあります。また、REITを運用しているのはプロとは言え、人間ですのでミスをする可能性はあります。運用が成功するか否かは担当者の腕によるところもありますの。

初心者必見!不動産投資信託売買時の注意点

J-REITのコスト

J-REITは証券会社に口座を開設することで売買することが可能になります。インターネット証券もありますが、インターネットでの売買は手数料が比較的安いものの、商品知識が広く備わっていないとかなり大変ですから、最初は窓口があって相談しやすい証券会社に口座の開設をするのが良いでしょう。

売買は証券会社を通じて行うため売買手数料(購入時・売却時共に)がかかりますし、場合によっては口座管理手数料がかかることもあります。証券会社の手数料に関する料金体系については、取引ごとに料金がかかるパターンと、一定期間の定額料金がかかるパターンがあるので、事前に確認しておきましょう。

J-REITの税制

そして売買で得た利益については課税対象となるので、これらの点は注意しておきましょう。J-REITの税制は、上場株式などと同じ扱いをするので、確定申告により損益通算も可能です。税率に関して、2013年以降は所得税に2.1%の復興特別所得税が課税され、2014年以降は20.315%((所得税15.315%、住民税5%))となっています。

また、確定申告について、特定口座の「源泉徴収あり」を選択すれば、証券会社が売却益から税金を徴収して代わりに税務署に納めてくれます。

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不動産投資信託のチェックポイント

2016年12月19日現在、J-REITには50を超える銘柄があります。

例えば星野リゾートの施設をポートフォリオに持つ星野リゾート・リート投資法人(運用会社は星野リゾート・アセットマネジメント)、東急電鉄などとの関連がある東急リアル・エステート投資法人(運用会社は東急リアル・エステート・インベストメント・マネジメント)など、様々な物件を持つ法人が肩を並べています。

ではこれらの豊富な銘柄の中からどのような点に注目して投資先を選定すればよいのでしょうか。

最も注目するべきポイントは、各種J-REITがどのような種類の不動産に投資しているかという点です。J-REITの投資先は、オフィスビルから住宅まで幅広くあるので、それぞれの特徴を掴んでおく必要があります。

オフィスビル

オフィスビルはマンションなどに比べると単位面積あたりの賃料は高くなる傾向にあるため、景気が良いタイミングであれば割の良いリターンが見込めます。しかし半面、景気変動や入居している各テナントの業績によって空室リスクの影響を受けやすいため、マンションなどに比べるとハイリスクハイリターンと言えます。

住居

賃貸マンションが中心です。オフィスビルに比べて景気の影響を受けにくく、頻繁な入居者の入れ替わりもなく、家賃はおよそ一定額なので、安定的に賃料収入が得られます。しかし、リスクが低い分、リターンも応じて少なくなります。

商業施設

郊外や都心部に大きく進出しているショッピングモールなどが中心です。各テナントの売り上げはどうか、施設に充分な来客を促す魅力はあるか、テナントの空き状況はどうか、などの観点からチェックする必要があるでしょう。

商業施設におけるテナントの賃料は、比較的長期にわたって固定賃料で契約されることがほとんどなので、景気によって施設の売上自体はが大きく左右されますが、それによってすぐに賃貸収入が大幅に減るリスクも少なく、比較的安定であるといえます。しかし、店舗の売り上げに応じた歩合賃料を採用しているものもあるので、そのような銘柄は景気の影響を受けやすく、ハイリスクハイリターンであるといえます。

しかし、景気の影響を受けにくいと言っても、競争力のない商業施設の場合魅力のあるテナントを誘致できないため、商業施設の価値がどんどん下がっていってしまいます。そのようなリスクを回避するために、交通アクセスの良さや近隣の商業施設の発展度合い、テナントの集客力などをチェックすると良いでしょう。

ホテル

ホテルに投資する場合、投資した投資家全員でホテル全体のオーナーになります。そして宿泊客の宿泊料から分配金が支給される仕組みとなっています。このように、ホテルは空室状況が分配金の大小に直接影響するため、景気に左右されやすいということを理解しておきましょう。宿泊客の増減は、国内景気だけではなく、円高や円安といった為替状況にも大きく左右されるため、多くの情報に注目する必要があります。

物流施設

物流センターなどの物流施設の賃貸契約は長期固定の賃料形態が多いため、賃料収入は非常に安定しています。しかし、商業施設と同様、中長期的に見た場合、物流に対するニーズの変化や、施設の競争力によって物流施設の価値が決まるので注意が必要です。ちなみに、現在はECや通信販売の市場規模が拡大していっているので、物流施設のニーズも高まると考えられ、人気のある物件となっています。

これらを踏まえると、リスクの大きさは

ホテル>オフィスビル>商業施設>物流施設>住宅

と一般的には考えられています。

このように、投資法人がポートフォリオをどのように組んでいるかをチェックすることで、リスクとリターンのバランスを概ね確認できます。自分の投資スタイルや市場状況を鑑みて、何にどれくらいのリスクを取って投資するべきなのかを考える必要があります。

また、この他にそれぞれの不動産の立地情報にも目を通しておきましょう。立地がその不動産の用途に適しているか、安定的なのか発展性が見込めるのかなど、複数の観点から確認をしていくことが重要です。

投資する物件や施設だけでなく、その周辺の環境にも注意を払っておくと良いでしょう。例えば関東エリアについて見てみると、神奈川県や埼玉県では首都圏中央連絡自動車道沿いで開発が進んでいますが、実際は商業施設の一部ではテナント誘致がうまくいっていないようだという事例もあります。そのため、その周辺エリアや首都圏中央連絡自動車道沿いの物件に投資するべきかどうかは一度しっかりと考えて見る必要がありそうです。

各J-REITのホームページから投資方針や保有資産など様々な情報が確認できますので、投資を始める前によく確認しておきましょう。

不動産投資も含めた投資全体のポートフォリオの組み方については以下の記事でもご紹介していますので、よろしければご覧ください.
関連記事:20代必見!資産運用で重要な”理想的なポートフォリオ”の作り方

おわりに

J-REITの仕組み-300x169 不動産投資信托とは?初心者でもわかる不動産投資の仕組みと注意点

一見ハードルが高そうな不動産投資ですが、不動産投資信託を利用すれば初心者でも簡単に始めることができます。まずは興味を持った銘柄や不動産についての情報をたくさん収集するところから始めていきましょう!

こちらの記事では不動産投資を始める前に知っておきたい不動産投資と節税の関係についてご紹介していますのでこちらもあわせてご参照ください。

参考記事:不動産投資による節税の仕組み解説!経費を使って賢く節税する方法を紹介