抵当権と根抵当権の違いは?

抵当権 根抵当権

不動産投資をする際、ほとんどの方がローンを活用します。
その際に抵当権と根抵当権という二つの紛らわしいワードを目にすることでしょう。
抵当権と根抵当権では性質が大きく異なり、メリット・デメリットも異なります。
自分にあったローンを組めるように二つの言葉の違いについて確認していきましょう。

不動産投資のご相談・お問い合わせで「不動産投資の基本がわかる書籍」等プレゼント!

不動産投資ローンを組んで不動産投資を行う前にチェックしておきたい注意点

不動産投資を少ない頭金から始めるには、不動産投資ローンの存在は不可欠です。

しかし、不動産投資ローンを組むにあたっていくつかチェックしておくべきポイントがあります。
そのうち、

・不動産投資ローンの仕組み
・不動産投資ローンのメリット
・不動産投資ローンのリスクとデメリット
・不動産投資ローンの金利と具体的な商品

の四つは以前の記事(不動産投資ローンって何?不動産投資ローンの解説と実例も踏まえて解説)で実例を交えながら説明しました。

そこで、今回は不動産投資ローンを結ぶ時に知っておいた方がいい「抵当権と根抵当権」について詳しく説明していきます。

抵当権・根抵当権とは?

まず、抵当権・根抵当権とは何かを説明する前に、そもそも抵当とは何かご説明します。

抵当とは権利や財産を、借金などの保証にあてることを意味します。
つまり、簡単に言えば担保のことを指します。
それを踏まえ、抵当権、根抵当権のそれぞれについて順に説明していきます。

抵当権とは

抵当権とは、担保の目的物を債務者が引き続き使用できる状態にしておきながら、もし債務が返済されない時には、その担保から債権者が優先的に弁済を受けることを内容とする、担保を所有する権利のことを指します。
もちろん、債務が返済できなくなった場合には債務者は担保の目的物を使用することはできませんが、滞りなく債務を返済している間は自由に使用できるというのが質権との違いです。
要するに、お金の貸し手が借り手に対して貸したお金が返ってこない場合のリスクヘッジのための法律です。

今回の不動産投資ローンという文脈においては、抵当権は不動産投資ローンを組む際に、金融機関等が債務者の不動産(物件)を担保として設定きる権利が抵当権に該当します。

以上を図式化すると以下のようになります。

teitouken 抵当権と根抵当権の違いは?

①〜④の順で見ていきましょう。

①抵当権の設定
まず、お金の貸し手である債権者が不動産に対して抵当権を設定します。このとき、債権者のことを抵当権者と呼びます。

②被担保債
次に抵当権の設定を担保として、債務者が抵当権者(債権者)からお金を借ります。

③競売
債務者がお金を返済できなくなった場合、担保としていた不動産を第三者に競売にかけます。

④代金を支払う
競売の結果、抵当権者は抵当権を設定していた不動産の売却によって貸していたお金を回収することができます。

以上のように、抵当権者が債務者に対して融資を行う際に、債務者の所有物を担保することができる権利を抵当権と言います。

根抵当権とは

次に、根抵当権について説明します。
根抵当権とは継続的な取引関係から生じる債権を担保するため、あらかじめ一定の限度額を定めておき、将来確定する債権をその範囲内で担保する抵当権のことを指します。
簡単に言えば、お金の複数回の借り入れを担保するために限度額を定め、その範囲内で融資を行う権利のことです。
図式化すると以下の通りになります。

teitouken 抵当権と根抵当権の違いは?

こちらも同様に手順を追って見ていきます。

①根抵当権の設定〜②限度額の設定
まずは、債務者と調整した上で借り入れ限度額(極度額)を設定します。
このとき、包括根抵当権の禁止のために、被担保債権の範囲も設定する必要があります。

また、合わせて注意が必要なのは、第三者への対抗要件としての登記です。
債務者が二重に根抵当権を譲渡していた場合、登記している方に根抵当権者としての権利が与えられることになるので、この登記は必須です。

③被担保債の複数借り入れ
債務者は根抵当権者より適宜資金の借り入れをします。

ここで注意が必要なのは、ある期日をもって根抵当権者又は債務者が元本の確定を行った場合、それ以上の借り入れができなくなるということです。
元本の確定とは、その時点での返済義務のある金額を確定することを言います。

④競売〜⑤代金の支払い
元本の確定を行った後は根抵当権は抵当権と同じ扱いになります。
このように、債権者が債務者に対して融資を行う際に、限度額に応じた債権者の所有物を担保し、複数回融資をすることができる権利を根抵当権と言います。

抵当権と根抵当権の三つの違い

抵当権と根抵当権の違いを三つの項目を立てて説明します。

NO. 項目 抵当権 根抵当権
対象となる債権について 明確 不明確
権利の移譲について 債権者の承諾が不要 債権者の承諾が必要
連帯債務者について 可能 ほぼ不可能

 

①対象となる債権について
まずは第一に、抵当権・根抵当権の対象となる債権の明確さに違いがあります。
上図の通り、抵当権は対象となる債権が明確に定義されています。
具体的には、債務者がいつまでにいくら返済すべきかが決まっています。
一方で、根抵当権の対象となる債権は債務者と根抵当権者との間で範囲の設定が可能です。
また、元本の確定までは期日も額も決まっておらず、何度でも借り入れが可能というのが特徴です。

②権利の移譲について
次に、権利の移譲許可に関する違いについて説明します。
抵当権は債務者から移譲の許可が必要ないのに対して、根抵当権は、元本の確定までは債務者からの移譲の許可が必要とされています。
これは、抵当権が返済の時期と金額が明確に定義されているのに対して、根抵当権はそれらが定義されていないためです。
根抵当権の場合は債権者が、いつお金が返ってくるのかを債務者と調整していかないといけないのにも関わらず、いつの間にか勝手に権利が移譲されてしまうと債務者が困ってしまうからです。

③連帯債務者について
最後に連帯債務者をつけることができるのか否かをみていきます。
まず、抵当権の場合は連帯債務者をつけることが可能です。
支払いの時期・金額が明確であるため連帯債務者をつけることの障害がありません。
しかし、根抵当権の場合は、元本確定前には連帯債務者をつけることは認められていません。
なぜなら、支払い時期も金額も決まっていないからです。
どのくらいの金額をいつ支払うのかも不明確な状態で連帯債務者をつけることは難しいでしょう。
しかし、これはあくまで登記法上の話であり、実体法上では複数の債務者に対して、借り入れた個々の債権・債務を連帯債務として考えることができるようです。

抵当権と根抵当権のメリット・デメリット

不動産投資ローンを組む際に抵当権か根抵当権のどちらかを債権者に対して設置してもらうことになります。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを債務者側の目線に立ってお話しします。
まずは、以下のまとめをご覧ください。

メリット デメリット
抵当権 融資先を自由に追加できる 金銭/時間的コストがかかる
根抵当権 金銭/時間的登記コストがかからない 融資先の追加が自由でない

 

まとめると主に二つの観点でそれぞれのメリット・デメリットが表せます。
一つ目が、金銭的・時間的コストであり、もう一方が融資先の変更の自由度です。
抵当権と根抵当権を比較しつつそれぞれ順番に見ていきましょう。

金銭的/時間的コストについて

投資スタイルにもよりますが、繰り返し借り入れをする場合は圧倒的に根抵当権の方がコストを削減できます。
抵当権ですと、複数回の借り入れをする場合はその都度登記をしなければならなりません。
一回の登記の際には、書類作成の時間と、登記のための税金、また場合によっては司法書士への鑑定報酬がかかります。
しかし、根抵当権を結んだ場合には複数回の登記をする必要がなく、その結果コストも大幅に削減できるというわけです。

teitouken 抵当権と根抵当権の違いは?

融資先の変更の自由度

次に、融資先の変更の自由度という観点で比較していきます。

前述した通りですが、抵当権は融資先の変更が自由であり、根抵当権は自由でありません。
根抵当権の場合だと、例え債務者が不満を持ち、権利を移譲したいと考えていても、債権者に対して許可をとってからでないと融資先を変更することができません。
これによって、心理的にも負荷がかかりますし、時間的なコストもかかります。
一方で、抵当権の場合だと、もし債務者が不満を抱え移転したいと考えた場合無許可で融資先を変えることができます。
先ほどとは逆で精神的負荷がなく、時間もかからないのがメリットです。

不動産投資のご相談・お問い合わせで「不動産投資の基本がわかる書籍」等プレゼント!

抵当権と根抵当権の抹消の仕方

最後に、お金を借りた後に注意すべきこととして、抵当権と根抵当権の抹消があります。
ローンの返済後、抹消をしていないと不利益を被ることがあるので、抹消方法の確認は必須です。
ここでは、抵当権と根抵当権の抹消についてそれぞれ5W1Hの形式でまとめておきます。
自分でも手続きは可能ですが、時間的なコストもかかりますし、場合によっては複雑な対応をしなければいけないため、司法書士に相談して手続きを済ますことをお勧めします。

抵当権

Why 書類紛失や不動産相続による権利関係の複雑化に伴い、高額のコストを専門家に支払うことになるリスクを防ぐため
Who 原則として物件の所有者
(特例的に代理人も認められている)
Where 当該不動産を管轄する法務局
When 期間を問わず
What 以下の書類を提出する
・    抵当権抹消登記申請書
・    登記原因証明情報
・    登記識別情報または登記済証
・    会社法人等番号または資格証明情報
・    代理権限証明情報
※    基本的に金融機関とのやりとりが必要
※    法務局のHPより確認可能
How much 1物件につき1,000円(+適宜郵送料)
※司法書士に依頼した場合1物件1~2万円程度

根抵当権

Why 債権者との継続的な債務関係を断ち切りたいため
Who 原則として物件の所有者
(特例的に代理人も認められている)
Where 当該不動産を管轄する法務局
When 期間を問わず
What 以下の書類を提出する
・    根抵当権抹消登記申請書
・    登記識別情報または登記済証
・    登記原因証明情報
・    会社法人等情報または資格証明情報
・    代理権現証明情報
How much 1物件につき1,000円(+適宜郵送料)
※司法書士に依頼した場合1物件1~2万円程度

まとめ

不動産投資ローンを組むにあたって抵当権もしくは根抵当権を結ぶことになります。
ここまで抵当権と根抵当権それぞれのメリット、デメリットについて詳しく述べてきましたが、実際のところ、どちらを選択するのかは他者依存的であり、債権者によってどちらの権利を選択するかがほぼ決定してしまいます。

だからこそ、流されずに客観的で自律的な意思決定をすることが重要です。
この記事がみなさんの安定的な資金繰りをしていく契機となれば幸いです。