不動産投資ローンの繰り上げ返済の仕組みとメリット・デメリットを解説

不動産投資ローンの繰り上げ返済の仕組みとメリット・デメリットを解説

不動産投資を続けることで収益が得られるようになると、少しずつ資金が増えていきます。
そうなると、その資金をさらなる不動産を購入するために用いる他に、不動産投資ローンの繰り上げ返済に用いるといった選択肢も考えられます。
今回は、不動産投資ローンの繰上げ返済の仕組みやそのメリット・デメリットについて解説していきます。

関連記事:不動産投資ローンとは?具体例や金融機関の選び方、融資審査に通るコツを解説!

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不動産投資ローンの繰り上げ返済の仕組みを解説

不動産を購入する場合、購入資金の調達のためにローンを組むのが一般的です。
不動産投資ローンの返済には住宅ローンの返済と同様に利息が発生しますが、その支払い方法には元利均等返済と元金均等返済の二つがあります。

元利均等返済とは元金と利息を合わせた月々の支払額が均等になるという返済システムで、毎月の支払いの中で元金と利息の内訳は変化します。

一方、元金均等返済とは月々の元金の返済額が均等になるという返済システムのことです。
元金均等返済では毎月利息が減っていくため、返済額も段々と減少していきます。

関連記事:元利均等返済と元金均等返済でお得なのはどっち?

繰り上げ返済とは?

手元の資金に余裕がある場合、月々の支払いとは別に不動産投資ローンの一部を前倒しして返済することができ、このことを「繰り上げ返済」と言います。

繰り上げ返済には、支払い分を先取りして返済することで月々の返済額はそのままでローン返済の期間だけを短縮する「期間短縮型」と、返済期間は変えずに繰上げ返済以降の月々の返済額を減らす「返済額軽減型」の二つがあります。

どちらの繰り上げ返済の方法を用いても前倒しして元金を減らすことができるため、長い目で見た利息の合計支払額を減らすことができます。

不動産投資ローンの繰り上げ返済のシミュレーション

「期間短縮型」、「返済額軽減型」のどちらの方法を用いて繰り上げ返済をしても総返済額を減らすことができます。しかし、この二つの方法にはそれぞれ特色があります。
そこで、「期間短縮型」、「返済額軽減型」の二つの方法で返済期間や月々の返済額がどのように変化するのかをいくつか例を挙げてシミュレーションしていきます。

前提条件

Aさんは新築マンションを購入するための資金として金融機関から3,000万円を借り入れました。
当初の借入期間は35年間で返済方式は元利均等返済、金利は年2.3%から変動しないものとします。

ケース1:金融機関から資金を借り入れて1年後に一部繰り上げ返済として100万円を返済した場合

繰り上げ返済をした場合としなかった場合の毎月の返済額、総返済額、残存返済期間は以下のようになります。

①期間短縮型

繰り上げ返済をしない場合 繰り上げ返済をした場合
毎月返済額 104,059円 104,059円
総返済額 43,704,780円 42,593,990円
残存返済期間 34年 32年4ヶ月

⇒総返済額は1,110,790円減少

②返済額軽減型

繰り上げ返済をしない場合 繰り上げ返済をした場合
毎月返済額 104,059円 100,524円
総返済額 43,704,780円 43,262,500円
残存返済期間 34年 34年

⇒総返済額は442,280円減少

ケース2:金融機関から資金を借り入れて5年後に一部繰り上げ返済として100万円を返済した場合

繰り上げ返済をした場合としなかった場合の毎月の返済額、総返済額、残存返済期間は以下のようになります。

①期間短縮型

繰り上げ返済をしない場合 繰り上げ返済をした場合
毎月返済額 104,059円 104,059円
総返済額 43,704,780円 42,787,302円
残存返済期間 30年 28年6ヶ月

⇒総返済額は918,478円減少

②返済額軽減型

繰り上げ返済をしない場合 繰り上げ返済をした場合
毎月返済額 104,059円 100,211円
総返済額 43,704,780円 43,319,500円
残存返済期間 30年 30年

⇒総返済額は385,280円減少

ケース3:金融機関から資金を借り入れて1年後に一部繰り上げ返済として200万円を返済した場合

繰り上げ返済をした場合としなかった場合の毎月の返済額、総返済額、残存返済期間は以下のようになります。

①期間短縮型

繰り上げ返済をしない場合 繰り上げ返済をした場合
毎月返済額 104,059円 104,059円
総返済額 43,704,780円 41,521,084円
残存返済期間 34年 30年8ヶ月

⇒総返済額は2,183,596円減少

②返済額軽減型

繰り上げ返済をしない場合 繰り上げ返済をした場合
毎月返済額 104,059円 96,989円
総返済額 43,704,780円 42,820,220円
残存返済期間 34年 34年

⇒総返済額は884,560円減少

以上のどのケースでもAさんは総返済額を減らすことができていますが、全てのケースで返済額軽減型よりも期間短縮型の繰り上げ返済の方が総返済額は低くなっています。
また、ケース1、2、3を比較してわかるように、繰り上げ返済は早くに行うほど総返済額は減り、繰り上げ返済の額が高いと総返済額はかなり低くなります。

しかし、総返済額の差のみに注目すると確かに期間短縮型の繰り上げ返済の方がお得な気がしますが、返済額軽減型を利用すると毎月の返済負担を和らげることができるため、直近の出費に備えることができます。
そのため、自身の手元のお金と将来的な出費見込みを照らし合わせて適切な選択を行うことが重要です。

例えば、30歳で小学生の子供が二人いるAさんが不動産投資を始めるとします。
今後子供に掛かる養育費などを考慮すると、不動産投資ローンの繰上げ返済をするならば、返済額軽減型で月々の返済額を減らす選択が良いかもしれません。

一方で、45歳で大学生の子供がいるBさんが不動産投資を始めるとします。
このように子供がある程度成長している場合には、定年後に不動産投資ローンの支払いを続けないためにも繰上げ返済には期間短縮型を選択する方が得策になります。

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不動産投資ローンの繰り上げ返済のメリット

不動産投資ローンの繰上げ返済をする上でのメリットは大きく二つあると考えられます。

総返済額の軽減

一つ目は総返済額の軽減が見込めることです。
不動産投資が軌道に乗って収益が得られるようになり、手元に自由に使えるお金が手に入ったとします。
もし、この資金を銀行に預金しても、普通預金の金利は一年あたり約0.001%程であるため、100万円の利益を仮に30年間預金したとしても利息は1,000円程度にしかなりません。
しかし、上記のように得られた収益を不動産投資ローンの繰上げ返済に回すと、同様の条件下だと30年のスパンで見て30万円〜80万円ほど総返済額を減らすことができます。

金利変動に対するリスクヘッジができる

二つ目は金利変動に対するリスクヘッジができることです。
平成26年12月27日に閣議決定された「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」によって住宅金融支援機構の【フラット35】S の金利下げ幅の拡大が行われたことなどが要因となり、現在、住宅ローンは低金利が続いています。
しかし、今の低金利がずっと続くわけではなく、必ず金利が上昇するときはやってきます。

金利変動型の不動産投資ローンでは金利の上昇によって総返済額は大きく増加してしまいます。
例えば上記のシミュレーションのように3,000万円を30年間借り入れる際、金利が2.3%の場合と3.3%の場合を比較すると最終的な返済額は50万円以上変化してしまいます。

このようなリスクを避けるためにも、繰上げ返済を行なうことで早期にローン返済を進められることも繰上げ返済のメリットです。

不動産投資ローンの繰り上げ返済のデメリット

不動産投資ローンの繰上げ返済を行なう上でデメリットも二つ存在します。

突然の事態に対処しづらくなる

一つ目は、不動産運営上の問題に対処できなくなる可能性があることです。
不動産を運営する上で、災害による損壊や経年劣化などで物件のリフォームが必要になったり、空室率を下げるための広告費用が必要になったりなどの、運営上の突然の出費はつきものです。

不動産投資ローンの繰上げ返済は総返済額を軽減できるなどのメリットがありますが、一方で手元のお金がなくなることで突然の事態に対処することは難しくなってしまいます。

新たな不動産投資がやりにくい

二つ目は、新たな不動産投資に手が出し辛くなってしまうことです。
不動産投資によって得られた収益を繰り上げ返済に回してしまうと新たに不動産投資を始める資金がなくなってしまう恐れがあります。
また、手元に資金がないことで新たな不動産投資ローンの組み立ての際に不利になってしまうことも考えられます。

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繰り上げ返済を行なうべき人とそうでない人

以上のような不動産投資ローンの繰上げ返済におけるメリット・デメリットを踏まえると、繰上げ返済を行なうべき人とそうでない人の特徴が分かります。

例えば、今後新たに不動産を購入するつもりがなく、不動産投資ローンの総返済額を軽減したい人は、自身の今後の家計と照らしつつ早急に繰上げ返済を行なうべきです。

逆に、新たな不動産投資を始めようとしている、または興味を持っている方は、繰り上げ返済を行わず、手元に資金を残しておいた方がよい場合もあるでしょう。

また、すでに複数物件を所有している方なら、まず一件分を自己資金を投じて繰り上げ返済し、早期に完済し、今度はそこから生まれる収益を二件目の物件の繰り上げ返済に充てる、といったように複利運用を繰り返すことで、返済のスピードは加速度的に上がっていき、効率の良い運用を実現できるでしょう。
関連記事:不動産投資ローンの借り換えとは?デメリットはあるの?
関連記事:目的や年齢によってローンの組み方を考えよう!不動産投資ローンの組み方の種類

まとめ

不動産投資をするために物件を購入する際、一般的には不動産投資用の資金を借り入れるためのローンを組み立てることになります。不動産投資によって収益が得られるようになると、その収益をローンの支払いに繰上げ返済するという形で回せるようになります。
繰上げ返済は、総返済額を軽減できるほか、返済期間の短縮や月々の返済額の軽減に役立つとてもお得な方法です。しかし、手元の資金を返済に回してしまうため、現在のご自身の家計の状況や将来的な出費を見積もった上で、繰上げ返済を行なうかそうでないかを適切な判断を下しましょう。

関連記事:不動産投資ローンの審査をクリアできる方法は?
 

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