税務署からの「お尋ね」が来たら⁉お尋ねが来る条件や対応方法とは

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近年、税務署が不動産所得のある個人に対し確定申告の内容などについて調査する「お尋ね」が増加しています。税務署からの「お尋ね」と聞いて、税務調査を連想する方も多いのではないでしょうか? しかし、「お尋ね」と税務調査は全く異なるものとなります。

そこで今回は、税務署からの「お尋ね」について、問われる内容や対処方法などを解説していきます。基礎知識となる不動産投資に関わる税金については以下の記事をまずはご一読ください。

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税務署からの「お尋ね」ってなに?

「お尋ね」とは、実際どのようなものなのでしょうか。ここでは、税務署から投資家の皆さんに送られてくる「お尋ね」の概要や背景について解説していきます。

「お尋ね」の概要

「お尋ね」とは、税務署から個人に対して行われる、確定申告の中身についての問い合わせのことです。不動産所得の内訳や現在の不動産の利用状況などが問われることとなります。

「お尋ね」は手紙または電話の形式が多く、「お尋ね」を受けた場合には、税務署によって問われている項目に回答し提出する必要があります。

対象者は、申告した経費が通常よりも多い人やその他税務署が申告内容に疑問を持った人、直近の期間で新しく不動産の購入や建築を行った人となっています。

「お尋ね」と同じように、個人に対して確定申告の中身を問う「税務調査」がありますが、「お尋ね」は税務調査と異なり法的な回答義務がなく、また税務官が直接自宅を訪れることもありません。

しかし、その後税務署に不信感を抱かれないようにするためにも、しっかり回答することが推奨されます。

「お尋ね」活発化の背景

「お尋ね」は、2013年頃より、東京都国税局によって積極的に行われるようになりました。「お尋ね」活発化の背景には、次のようなものがあります。

近年、政府は富裕層や無申告層など、より課税できる層や本来課税されるべきにもかかわらず課税されていない層からの徴収を進めていました。

不動産投資を行っている投資家は、一定程度の富裕層である可能性が高いため、今回のような不動産所得に着目した「お尋ね」が大規模に実施されることになったと思われます。加えて、不動産所得の申告が正確に行われていないという状況もあります。

現状の課税制度は申告課税制度を採用しており、基本的に投資家自身が不動産所得を計算し、申告したものに対して課税されます。

しかし、投資家の知識不足などの理由により、しばしば必要経費に含められるべきではない費用を計上するなどの状況が続いていました。

*不動産所得とは、所有している不動産からの実質的な収入を表し、以下のような計算式で計算されます。

総収入額 - 必要経費 = 不動産所得額

総収入額とは、投資している不動産からの家賃収入や返還の必要のない保証金・礼金などです。

必要経費には、建物への固定資産税、地震や火事などに対する損害保険料、減価償却費、修繕費等が該当します。「お尋ね」では、この必要経費に何が含められるのかが問われます。

 

税務署から「お尋ね」文書が来るのはどんなとき?

では、税務署から「お尋ね」文書が来るのはどのようなときなのでしょうか? 不動産投資において、税務署から「お尋ね」文書が来やすいのは以下の状況のときです。

不動産を取得したとき

不動産を取得したときは一千万円単位の取得資金が必要になります。そのため、どのように資金を取得したのか、贈与に当たらないか、という点を税務署は調べるため、「お尋ね」文書が来ることがあります。特に、不動産を共有名義にしているときには注意が必要です。

というのも、不動産を共有名義にすると「持ち分割合」が発生し、その持ち分割合は原則「不動産の取得資金を拠出した割合」で決まるからです。たとえば、夫婦ともに2,500万円を拠出して不動産を取得したのであれば、夫と妻の持ち分割合は50%ずつになります。

しかし、持ち分割合は自由に決めることができるので、拠出した資金と持ち分割合のパーセンテージが合致しない場合は贈与に当たることがあり、税務署から「お尋ね」文書が来るケースもあります。

不動産を売却したとき

また、不動産を売却したときも「お尋ね」文書が来やすいです。税務署は不動産の登記状況を把握しているので、不動産の売却(所有権移転)が起これば税務署は把握することができます。そして、不動産の売却時は譲渡所得税が発生している可能性があるので、調査の上で不審な点があれば「お尋ね」文書が来るでしょう。

不動産所得の変動が激しいとき

物件運営をしているときには、不動産所得の変動が激しいときに「お尋ね」文書が来やすい状況です。たとえば、不動産所得が大きく増えたときには節税対策を積極的に行う人が多いため、「計上できない項目を経費計上していないか?」などを税務署は確認します。また、不動産所得が減ったときは「所得隠し」を疑われる可能性があります。このような「お尋ね」文書が来やすい状況を知っておき、このような状況の場合は特に注意して確定申告しましょう。

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税務署からの「お尋ね」で問われやすい内容

では、「お尋ね」で問われる内容について、具体的に見ていきましょう。

税務署からの「お尋ね」には、相続税や事業の内容、消費税還付申告についてなど、幾つかの種類があります。今回のテーマである不動産投資をターゲットにした「お尋ね」では、不動産所得の内訳やその不動産の利用状況が問われることとなります。

「お尋ね」で問われやすい事柄

「お尋ね」では様々な項目を問われますが、人によって回答を求められる事柄は異なります。ここでは、そのなかでも問われ易いものとそれに関わる注意点を解説します。

①   必要経費の内訳

不動産所得は総収入額から必要経費を控除したものですが、この必要経費に何を含めていいかが問題となります。通常、必要経費が多ければ多いほど課税額は少なくなります。必要経費については、含めるものと含めないものとの線引きが難しく、知識不足から投資家自身も間違えやすく、税務署の関心が最も高い部分です。

必要経費には、主に固定資産税・都市計画などの租税公課や地震・火事に備えた損害保険料、減価償却費、修繕費、管理費などが該当します。そのなかでも、特に注意すべき点として、修繕費が挙げられます。

国税庁は修繕費を必要経費に含めることは認めていますが、資本的な支出を含めることは認めていません。国税庁では、「貸付けや事業の用に供している建物、建物附属設備、機械装置、車両運搬具、器具備品などの資産の修繕費で、通常の維持管理や修理のために支出されるもの」であれば、必要経費として認めています。

一方、「資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増加させたりする部分の支出」は、必要経費として認めていません。

つまり、不動産を使用するために必要とされる修理は修繕費として認めていますが、そうではなく不動産の価値を上昇させるような修理は、資本的な支出に該当するということです。

また、修繕費と資本的な支出の区別は、呼称ではなく、その内容で判断するとしています。このように、線引きが非常に曖昧なことから、申告時の誤りが多発しています。間違えやすい資本的支出と修繕費の区別について、判断基準を整理しておきます。

 ■資本的支出

・建物の避難階段の取り付けなど、物理的に付け加えた部分の金額

・用途変更のための模様替えなど、改造または改装に直接要した金額

・機械の部分品を特に品質または性能の高いものに取り替えた場合で、その取り替えの金額のうち通常の取り替えの金額を超える部分の金額

■修繕費

・おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、または一つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき。

・一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のとき、またはその資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき。

また、資本的な支出として工事を行った場合、その費用は減価償却費として耐用期間に按分して計上するべきものです。しかし一括してその年の修繕費に含めてしまう失敗も珍しくないため、注意すべき点と言えます。

その他には、自宅の管理費用や借入金の利子だけでなく元本(借り入れた金額)も計上してしまうケースが見られますが、これも認められないため気を付けなければなりません。

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②   不動産の状況

不動産の利用状況についても問われる場合があります。所持している全ての不動産の所在地やその購入時期、年間の家賃額、その他共益費などの収入、不動産の構造、現在賃貸されているかどうか等が問われます。

申告時に散見される間違いとしては、返還を必要としない敷金や礼金、保証金を収入として計上していない場合です。総収入額に該当するのは、なにも年間の家賃収入だけではありません。更新料などの名目で受け取る金額や返還を要求しない礼金、共益費なども、総収入額として計算する必要があります。

また、所在地や構造、購入時期などから総合的に判断することにより、家賃収入を実際よりも少なく申告していないかを確認される場合もあります。

③   投資家の情報

年間の総所得や就いている職業などが問われます。総所得と不動産購入時に要した資本金の調達方法を照らし合わせ、不自然なお金の流れがないかがチェックされます。

④   不動産の購入

不動産の買入先や購入価格、その際に要した仲介手数料などの費用、そしてそれらの費用をどこから調達してきたのかが主に問われます。

特に、どこから資本金を調達したのかについては、例えばどこの銀行からいくら調達したのか、借入金の利子はいくらか、それとも自身の預貯金からなのか、資産を売却して得た資金なのか等、非常に細かく問われることの多い項目です。

 

税務署から「お尋ね」が来たらどうすれば良い?

では、実際に「お尋ね」が来たら、どのように対処すれば良いのでしょうか。ここでは、「お尋ね」の目的や「お尋ね」が来た場合の対応について解説します。

「お尋ね」の目的は、あくまで申告された内容が本当に正しいのか確認する、というものです。従って、「今すぐに税金を徴収されてしまう」と考える必要はありません。

また、税務調査とは異なり、「お尋ね」は行政指導に当たります。そのため、法的に回答しなければならないという義務はありません。加えて、「お尋ね」を通じて申告内容に誤りが見つかって訂正した場合にも、加算税が課されることはありません。

しかし、その後、税務署が申告内容に対して疑問を持ち税務調査が実行された結果、申告漏れや計上ミスが発覚した場合には、加算税を支払う法的義務が生じます。従って、求められた項目に対して期限内に事実通り答えるのが無難でしょう。

 

税務署からの「お尋ね」を無視した場合はどうなる?

次に、税務署からのお尋ねを無視してしまった場合、どうなってしまうのか解説します。

無視した後の流れ

上述したように、税務署からの「お尋ね」は法的な回答義務はないため、「お尋ね」を無視しただけでは法的に罰せられることはありません。しかし、税務署も聞きたいことがあって「お尋ね」文書を送っているので、それを無視するということは聞きたいことが聞けないということです。そのため、「お尋ね」を無視すると、税務署から「お尋ねに対する回答」を促す督促のハガキが送られてきます。

さらに、そのハガキも無視すると税務署から電話がかかってきて、その電話も無視すると税務調査が入る可能性があります。税務調査とは、納税者が正しく税務申告をしているか確認するための調査であり、脱税の疑いなどがない場合は任意調査です。ただ、任意調査の場合でも質問には検査権という法的権利があるため、質問に黙秘・虚偽の回答をすると罰則を受けることもあります。

また、脱税の疑いをかけられれば強制調査になります。そのため、基本的に税務調査は受けるものと認識しておき、そもそも税務調査にならないように税務署からのお尋ねにはきちんと回答した方が良いでしょう。

追加徴税のリスク

税務署からのお尋ねには回答期限があり、その回答期限内に返答すれば、仮に確定申告で間違った項目があっても修正申告で済む場合が多いです。しかし、お尋ねを無視して税務調査にまでなってしまうと、不備があった場合には延滞税・過少申告加算税、場合によっては重加算税が課せられることもあります。

もし、重加算税が課税された場合には、最大で45%もの高税率になるので注意が必要です。もちろん、お尋ねに回答したからといって悪質な脱税であれば重加算税を課せられることもありますが、少なくともお尋ねを無視して税務調査に入られるよりは、税務署の心証は良いでしょう。

 

税務署からの「お尋ね」に備えて

ここまでは、「お尋ね」が来た場合の対応について解説してきました。このような「お尋ね」に対応するために、普段から備えを心がけておくことをお勧めします。

「お尋ね」では、確定申告時に必要経費として認められるものと認められないものを区別し、不動産所得を正確に計算しなければなりません。

このため、かかった費用の証拠となる資料をしっかり保管・管理しておき、必要経費として計上できるものとできないものを理解しておきましょう。場合によっては、税務署から証拠資料を提出することを要求されるので、特に資料の保管は心がけておきましょう。

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まとめ

今回は、税務署による「お尋ね」について、その実態や対処法について解説してきました。「税務署による調査」というと仰々しく聞こえますが、あくまで確認のためであり、そう身構える必要はありません。税務署に指摘された項目に対して事実通りに回答すれば、問題が発生することはないでしょう。

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