不動産所得に係る税金と計上できる経費とは?

不動産投資をして得られた所得に対しては税金が課せられます。この際、経費を正確に計上して確定申告を行うことが、節税する上で非常に重要となります。
今回は、不動産収入がある場合の税金の計算方法や、不動産投資時に認められる経費などについて解説していきます。

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不動産所得の計算方法とは?

不動産所得と聞いてまず思い浮かべるのは、賃貸マンションの家賃収入などかもしれません。しかしそうした家賃収入以外にも、税制上は不動産所得として定義される項目がいくつかあります。具体的には、不動産所得とは以下の3つを指します。

  1. 土地や建物など不動産の貸付け
  2. 地上権など不動産の上に存在する権利の設定及び貸付け
  3. 船舶や航空機の貸付け

地上権とは、土地を借りてその地上または地下に建築物などを造る権利のことです。土地や建物のような目に見えるモノ以外に、このような権利を貸し付けて得られる収入も不動産所得に含まれるのです。

不動産投資を行う際に、実際に管理運営に支出する費用や賃貸収入、また手元に残っている資金などといったお金の流れ、つまりキャッシュフローが重要であることは言うまでもありません。一方で、今回のテーマである所得税を計算するという目的のためには、キャッシュフローよりむしろ帳簿上のお金の収支を考えることが必要となります。

帳簿上では、不動産所得の金額は

  総収入金額 – 必要経費 = 不動産所得の金額

という形で計算します。

総収入金額に含めることができるものは以下のようなものがあります。

  • 貸付けによる賃貸収入
  • 敷金や保証金のうち、返還しなくてよいもの
  • 電気代、水道代、掃除代など、共益費として受け取るもの
  • 名義書換料や承諾料、更新料、頭金など

賃貸マンションでよく見られる敷金や共益費なども、不動産収入として扱われるのです。

この総収入金額から不動産投資に要した経費を除いたものが不動産所得の金額となります。必要経費には何を計上することができるのかについては、次章以降で解説します。

不動産所得に掛かる税金の計算方法は?

不動産所得に掛かる税額は、不動産所得にご自身の所得税率をかけることによって得られます。もしも、例えば不動産所得が100万円であり、所得税率が23%だと分かっていたとしましょう。その場合、

    100万円 × 23% = 23万円

このように不動産所得に対する税額の計算は簡単です。

しかし実際には、不動産所得のみでは所得税率は定まらないので、税金の計算はもっと複雑になります。

所得税率の計算方法としては、不動産所得以外にも給与所得などの各種所得を合計し、その合計額に応じた所得税額を計算するという総合課税制度が採用されています。また各種の所得金額を合算した後に、社会保険料控除や扶養控除などの所得控除も差し引かれます。そのようにして算出された課税所得金額に応じて、表のように所得税率が定められています。

課税対象の所得税率控除額
〜195万5%0円
195万〜330万10%97,500円
330万〜695万20%427,500円
695万〜900万23%636,000円
900万〜1,800万33%1,536,000円
1,800万〜4,000万40%2,796,000円
4,000万〜45%4,796,000円

 

例)給与所得500万円、不動産所得100万円、所得控除50万円の場合

所得金額:500万円 + 100万円 = 600万円

課税所得額:600万円 — 50万円 = 550万円

所得税率:(表より) 20%

控除額:(表より) 427,500円

よって給与所得と不動産所得の全体に対して掛かる課税額は

  550万円 × 20% − 427,500円 = 672,500円

となります。

例)給与所得700万円、不動産所得100万円、所得控除50万円の場合

所得金額:700万円 + 100万円 = 800万円

課税所得額:800万円 — 50万円 = 750万円

所得税率:(表より) 23%

控除額:(表より) 636,000円

よって不動産所得に掛かる所得税の金額は

  750万円 × 23% – 636,000円 = 1,089,000円

となります。

たとえ不動産投資による所得額が一緒だとしても、それ以外の所得額が違った場合、不動産所得に関する部分も含めて所得税率が変わってきてしまいます。給与所得や一時所得なども全て含めて、税金はトータルで考えるようにしましょう。

不動産投資時に認められる経費の種類

前章で解説したように、不動産投資において課税の対象となるのは額面収入ではなく、収入から必要経費を差し引いた不動産所得です。そのため、必要経費をこまめに計上していくことによって、課税対象となる所得額を大幅に削っていくことができます。

この章では、不動産投資において経費として計上できるものを詳しく解説していきます。計上可能であることを知らなかった経費や、こまめに記録するのがやや面倒ではあるけれども、額が無視できないという経費もあると思います。この機会にしっかりと把握して節税に役立てましょう。

1.管理費

賃貸物件を所有しているならば、清掃などの管理をしなければなりません。
しかし、不動産投資をする方でも、本業が忙しいなど、自ら管理業務まで行うことができる方はそう多くありません。そんな時に管理業務を依頼するのが不動産管理会社です。
不動産管理会社は入居者の対応や、エレベーターなどの付属設備の保守管理業務を行ないます。この管理会社に支払う管理費は必要経費として計上できます。

2.減価償却費

減価償却費とは、不動産を購入する際にかかった費用を、一年で経費として計上してしまうのではなく、使用できる年数に応じて費用を分配し、それらを毎年経費として計上していくものを指します。使用できる年数は、建築物の構造や目的に応じた耐用年数として法律で定められています。

費用の分配には2つの計算方法があります。ひとつ目は、不動産取得費用を法定耐用年数で割り、毎年同額を減価償却費として計上して行く「定額法」です。ふたつ目は、取得費用の中でまだ計上していない額を毎年一定の割合で計上して行く「定率法」です。

なお建物本体については、以前は定額法と定率法の両者を適用することができましたが、平成10年4月1日以降に取得した不動産については定額法のみしか適用できなくなりました。また給湯器やエレベーターといった付帯設備についても、平成28年4月1日以降に取得された不動産では定額法のみの適用となりました。これらの点にご注意ください。

実は、付帯設備は建物本体よりも償却期間が短く、この差を利用してさらなる節税を工夫する方法もあります。ただしこれは、運用期間や運用規模によっては必ずしも大きな節税効果があるわけではありませんので、まずは経費の計上をしっかりと行っていくことが基本といえるでしょう。

3.修繕費

壁の塗り替えなどの修繕・設置交換のための費用は、修繕費として必要経費に含めることができます。具体的には以下のようなものが挙げられます。

・畳の取り替えや障子などの張り替え
・トイレ、台所、エアコンなどの内装品の修理

しかしこの修繕費は、固定資産の維持管理費用や原状回復費用と位置付けられています。
そのため、以下のような不動産の資産価値を高める支出に関しては、資本的支出と呼ばれ、修繕費として計上することができません。資本的支出は、原則として新たに取得したものとみなして、追加で減価償却費を計上します。

・用途を変更するための模様替えの費用
・避難階段の設置など、新たに物理的に付加した部分への費用

4.損害保険料

投資用不動産に掛けている地震保険や火災保険、賃貸住宅費用補償などの損害保険料は、経費計上することが可能です。ただし、複数年契約を交わして一括で保険料を支払ったとしても、経費に含めることができるのは単年度分だけなので注意が必要です。

5.ローン返済の利息分

投資用不動産を購入するために金融機関からお金を借りた場合、その借入金の利息部分については必要経費として計算することができます。

ただし、借入金のうち元本部分は経費とすることはできないことは当然としても、借入金の利息以外の経費ですでに不動産所得が赤字の場合には、土地に関する利息は経費とすることができないという制約がありますので注意してください。

6.各種税金

不動産を賃貸するにあたってかかる税金も必要経費とすることができます。具体的には以下のものが対象となります。

・賃貸物件を取得するために必要な登録免許税・不動産取得税
・不動産を所有している人に掛かる固定資産税
・課税文書作成に際して掛かる印紙税

一方で、所得税や住民税は必要経費とすることができないことは覚えておきましょう。所得税は必要経費を総収入から差し引いた不動産所得に対して掛けられるので、これが必要経費に含められないのは当然といえます。

7.交通費

不動産経営に関する目的で使用した交通費は必要経費に計上できます。具体的には、物件の見学、管理会社との打ち合わせ、不動産会社主催のセミナーへの参加などのために必要な交通費が挙げられます。

領収書が出ないものについては、行った日付や場所、目的などについてエクセルで詳細に記録しておけば大丈夫です。

8.通信費

管理会社や仲介会社と電話で打ち合わせなどをした時に発生する通信費は、経費として扱うことができます。
しかし、携帯電話を不動産経営用とプライベート用のふたつ用意されている方は少ないでしょうし、どの程度不動産経営に関して通信費を使ったのかを通話記録から調べることは困難です。そのため、全額ではなく3〜4割の金額を通信費として計上している方が多いようです。

9.新聞図書費

不動産投資や税金、経済の動向といった、不動産事業に関連する資料を購入した場合や、それらに関する記事を読むための新聞の費用などは必要経費として計上することができます。

10.消耗品費

不動産投資の事務関連で使用した文房具代やコピー代は消耗品費として経費とすることができます。

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不動産所得がある人のための確定申告の方法

確定申告とは、1月1日から12月31日の間に得た全ての所得額を計算し、確定申告書にまとめて税務署に申告し、所得に相当する税金を納めることを言います。

また、会社に勤めていて給与を受け取っている方は、賃貸経営などの不動産投資による家賃収入を得た場合、所得税額は給与所得と不動産所得の合計金額に対して決まるため、会社ではなく自分で確定申告を税務署にしなければなりません。

ここからは確定申告書の作成方法や確定申告の流れなどについて解説していきたいと思います。
確定申告をするにあたって、やらなければならないことは大きく分けて4つあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

  1. 確定申告に用いる書類の準備
  2. 決算書の作成
  3. 確定申告書の作成
  4. 税務署への申請

1.確定申告に用いる書類の準備

不動産投資による家賃収入がある場合は、以下の9種の書類を用意しましょう。

1.管理会社から受け取る賃料入金明細
2.賃貸契約書
3.不動産売買契約書類
4.地震保険、火災保険の証券
5.固定資産税通知書
6.借入金の返済予定表
7.修繕費の見積もり、請求書、領収書
8.交通費などの経費の領収書
9.その他の収入のわかる書類

勤務先からの給与所得がある方は、上記の書類以外に源泉徴収票も用意しておくようにしましょう。

2.決算書の作成

決算書には白色と青色の2種類ありますが、不動産所得の場合は青色申告決算書を使います。不動産経営を開始してから2ヶ月以内に税務署へ青色申告承認申請書を提出しなければならないことにも注意しておきましょう。

不動産所得用の青色申告決算書・収支内訳書のフォーマットや書き方は国税庁のホームページに詳しい記載がありますので、そちらを参照するようにしてください。

 <青色申告決算書>

フォーマット/書き方

<収支内訳書>

フォーマット/書き方

3.確定申告書の作成

確定申告書は1月に税務署より送付されます。AとBの2種類がある確定申告書ですが、不動産所得ではBを用います。

ただし、個人事業の開業届出書を提出していない場合は、確定申告書は送付されてきません。税務署で受け取るか、国税庁のホームページから印刷して準備するようにしてください。

こちらも国税庁のホームページに書き方の指示がありますので、確認しておきましょう。

<確定申告書B> 書き方

なお、不動産所得が赤字の場合は、赤字額の一定の部分を総所得金額から控除し課税額を減らすことができます。これを損益通算と呼びます。損益通算を行う場合は、こちらの確定申告書を使用してください。

4.税務署への申請

上記の過程で作成した確定申告書類と源泉徴収票の原本を用意し、管轄の税務署に提出します。郵送での提出も可能ですが、書留にするなどして間違いのないようにし、できれば直接持参しましょう。

まとめ

今回は不動産投資にまつわる所得額・税額などの計算方法や、確定申告の流れなどについて解説しました。不動産投資にかかる経費などを正確に把握することは、節税を行う上で最重要ともいえるでしょう。この記事が節税に役立てば幸いです。