減価償却とは?対象となる固定資産や計算方法を初心者向けに解説

減価償却とは?対象となる固定資産や計算方法を初心者向けに解説

資産を運用したり、企業を経営したりしていく上で必ず行わなければならない会計処理、その中でも非常に重要となってくる減価償却は細かいルールも多く、理解が難しいところもあると思います。
今回は、資産運用の初心者を対象に、減価償却の基本について解説していきたいと思います。

不動産投資のご相談・お問い合わせで「不動産投資の基本がわかる書籍」等プレゼント!

減価償却を理解しよう

減価償却、と聞いてすぐにピンとくる方は会計に慣れ親しんでいる方ではないでしょうか。
ここでは減価償却のあらましについて簡単に説明したいと思います。

減価償却とは

減価償却とは簡単に言うと「何年も使えるような設備・備品などの資産を購入する際の費用を、使用する期間で分割して計上しよう」という会計上の処理のことを指します。

わざわざ費用を分割して処理するなんて、なぜ面倒なことをやるのだろう、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
私たちの生活で例えるならば10万円のソファを現金で買った時、家計簿に毎月1万円ずつ書いていき、10ヶ月間計上していくようなものです。クレジットカードで分割払いにしない限り、こんなこと普通はしません。
しかし、会計処理はこのようにして“減価償却”を行うのです。

 

なぜ減価償却を行うのか

その理由は「資産購入や設備投資による赤字・黒字の乱高下を防ぎ、費用と収益を対応させること」にあります。
確かに、経営において10万円のソファを購入して大幅な赤字になる、ということはないかもしれません。
しかし、例えば、工場へ新たに1億円の製造機械を導入した場合はどうでしょうか。
この支出を一度に計上すると、購入した期間の収支は大幅な赤字となります。
ですが次の期間ではこの機械を使って利益を上げますが、費用は全くかかっていないこととなり、大幅な黒字を出していることとなります。
一見すると赤字から黒字へ大きく業績が向上しているように見えてしまいますが、この企業の実態とはそぐわないものとなっています。

「設備を購入した年度にだけ費用を計上し、そのあとは費用0で運用している」という会計処理では、その設備投資によって、結局どの程度利益を創出できたのかが分かりにくくなってしまいます。そのため、一般の会計処理では「減価償却」という考え方を採用しています。

企業の資産評価に減価償却が一役買っている面もあります。
企業は所有している資産の価値を正確に評価し、毎年決算として報告しなければなりません。では、先ほどの例で挙げた1億円の製造機械は、1年後も1億円の価値があるのでしょうか。
もちろんそんなことはありません。

1年後のこの機械の価値の算出方法は、中古品の市場価格など様々な観点から考えられますが、使用状況などによってばらつきが生じてしまうので、減価償却費として計上した額だけ価値が下がるという処理が企業会計ではなされています。

 

減価償却できる固定資産とできない固定資産

まず前提として固定資産とは、以下の条件を満たす資産のことを指します。

  1. 1年以上の使用期間があるもの
  2. 取得に10万円以上の金額を要するもの
  3. 事業に使用し、販売目的ではないもの

そして中でも減価償却の対象となる固定資産を減価償却資産と呼びますが、実は固定資産の中には減価償却できないものもあります。
原則として減価償却は、年数が経つにつれて価値が下がる固定資産に対して適用するものです。
しかし中には年数が経っても価値が変わらないものもあります。こうした資産は一般的に減価償却できません。
では減価償却できる資産とできない資産は、具体的にどのようなものが該当するのでしょうか。

 

減価償却できる固定資産

先述のとおり、減価償却できるのは年数と共に価値が下がる固定資産です。
この条件に当てはまる固定資産は、以下のとおりです。

有形固定資産無形固定資産
・建物
・車両
・パソコン
・プリンターなどのOA機器
・事務用品
・その他機械
など
・ソフトウェア
・特許権
・商標権
・意匠権
・漁業権
など

 
このほかにも減価償却できる固定資産は数多くあります。
特に無形固定資産は、目に見えない資産なので判断が難しいかもしれません。
しかしソフトウェアは時間が経てば新しいものが誕生し、元あったものは古くなっていくため、価値が下がります。また、権利も定期的に更新が必要です。
こうした考え方から、無形固定資産でも減価償却できるものがあるのです。

 

減価償却できない固定資産

一方、減価償却できない固定資産もあります。
それは時間が経過しても価値が下がらない固定資産です。
具体的には、以下のような固定資産が例に挙げられます。

有形固定資産無形固定資産
・土地
・骨董品
・美術品
・業務停止中の資産
など
・借地権
・電話加入権
など

 
これらの固定資産はいずれも年数と共に価値の下がるものではありません。
例えば土地は年数と共に価値が上がる可能性があります。
また骨董品や美術品は、年数が経てば経つほど希少価値が上がる場合があります。
無形固定資産である電話加入権は一度契約すれば更新の必要がありません。つまり価値が下がることなく持続するという考え方です。そのため減価償却の対象にはならないのです。

なお、固定資産の減価償却は業務に必要な経費であることを前提に行います。業務が稼働していない場合は、どのようなものも減価償却の対象となりません。

 

4つの減価償却額計算方法

減価償却の概要について理解できましたでしょうか。
減価償却では「費用を分割する」と説明しましたが、分割する手法は4つに定められています。ここからはその計算方法について紹介していきたいと思います。
 

定額法

定額法はその名の通り毎年同じ額を減価償却費として計上する方法であり、定額法での毎年の減価償却額の計算式は

取得価額) × (償却率)

となっています。

償却率は、

100 ÷ (法定耐用年数)

という式で決められています。

法定耐用年数が10年の機械を1億円で購入したなら、償却率は 100 ÷ 10 = 10 % となるので、

1億円 × 10 % = 1,000万円

が毎年の減価償却費となります。

定額法では減価償却費として計上する額が毎年一定というのが特徴となっています。定額法は建物や建物付属設備や機械などほとんどの資産で適用することができます。

またここまでご紹介した定額法は、平成19年の税制改正後に取得した固定資産に対する計算の方法です。
平成19年3月31日よりも前に購入した場合には、「旧定額法」と呼ばれる計算方法を適用する必要があります。
旧定額法による1年の減価償却額の計算式は以下のとおりです

取得価額)× 90% × (償却率)

なお、これは有形固定資産にのみ適用されるものです。
そのため、無形固定資産を減価償却するときは90%を掛ける必要がありません。

償却率の計算は先ほどの定額法と同様です。
法定耐用年数が10年の機械を1億円で購入した場合、償却率は以下のとおりです。

100 ÷ 10 =  10

 

つまり旧定額法で毎年の減価償却額を計算すると、以下のとおりになります。

1億円 × 90% × 10 % = 900万円

 

定率法

定率法は、まだ減価償却費として計上されていない部分から、毎期同じ割合で減価償却費を計上していくという方法です。
ただし現在、建物および建物付属設備については定額法のみで計上することとなっており、定率法は利用できません。
ここでは以前採用されていた方法として、参考までにご紹介します。

未償却残高) × (償却率)

となっています。

償却率は、

100 ÷ (法定耐用年数) × 2

で定められています。

また、上記の計算式によって算出された減価償却費が、法定耐用年数ごとに定められた償却保証額に満たない場合は、

改定取得価額) × (改定償却率)

という式で計算されます。
改定取得価額は期首に残っている未償却残高であり、改定償却率は法定耐用年数ごとに定められています。
※参考:国税庁 減価償却資産の償却率表

先ほどと同じく購入価格1億円・法定耐用年数10年の機械の場合、償却率は20%、改定償却率は25%、保証額は655万2000円ですので、

1年目:1億円 × 20 % = 2,000万円

2年目:(1億円 — 2,000万円) × 20 % = 1,600万円

・・・

7年目:2,621万4,400円 × 20 % = 524万4,290円 ← 保証額未満

2,621万4,400円 × 25 % = 655万3,600

8年目以降:2,621万4,400円 × 25% = 655万3,600

というような減価償却費となります。

償却費の額が初めの年ほど多く、年と共に減っていくというのが特徴となっています。また、償却費が保証額に満たなくなった場合は、定額法と同一の計算方法となることも特徴です。
 

級数法

級数法では、

(取得価額) × (残存耐用年数) ÷ (1から法定耐用年数までの数字の合計)

のように計算します。
少し難しいですが、購入価格1億・法定耐用年数4年の機械の場合、

1 + 2 + 3 + 4 = 10

ですので、

1年目:1億円 × 4年/10年 = 4,000万円

 

2年目:1億円 × 3年/10年 = 3,000万円

 

3年目:1億円 × 2年/10年 = 2,000万円

 

4年目:1億円 × 1年/10年 = 1,000万円

となります。

 

生産高比例法

生産高比例法は、総利用可能量を把握することができる車輌や航空機などに用いられます。この方式では、固定資産の利用量に応じて減価償却費を計上します。

取得価額) × (当期使用量) ÷ (総使用可能量)

となります。

例えば、1000万km走れる列車を1億円で導入し、当期に50万km走った場合の減価償却費は、

1億円 × 50万km  ÷  1,000万km = 500万円

となります。

不動産投資のご相談・お問い合わせで「不動産投資の基本がわかる書籍」等プレゼント!

 

減価償却費と減価償却累計額の違いと仕訳方法

固定資産の減価償却には、「減価償却費」と「減価償却累計額」という2つの科目があります。会計を行う際には、これら2つの違いや仕訳について知っておかなければなりません。

減価償却費とは、当期1年分の減価償却費用を指します。
一方で減価償却累計額とは、固定資産を取得してから減価償却した費用の累計額を指す言葉です。つまり各年の減価償却費を合算すると、減価償却累計額になります。

減価償却費は「費用」の項目として損益計算書に、減価償却累計額は「資産」の項目として貸借対照表に、それぞれ記載されます。
意味としては同じような勘定科目ですが、実は記載される財務諸表が異なるのです。そして、これらを計上するには、2つの仕訳方法があります。
ではそれぞれの仕訳方法を見ていきましょう。

 

直接法

直接法は資産の取得額から減価償却費を直接差し引き、計上する方法で、貸借対照表に減価償却累計額が記載されません。
では、法定耐用年数が10年の車両を200万円で購入したとしましょう。
この場合、減価償却費を直接法で仕訳するとどうなるでしょうか。

損益計算書における仕訳は以下のとおりです。

借方貸方
減価償却費20万円車両20万円

 

定額法で減価償却費を計算すると、1年あたり20万円となります(200万円÷10)。
また、直接法では固定資産(この場合は車両)から直接減価償却費を差し引くため、貸方に固定資産の名称を記入します。
これにより、帳簿上では固定資産の残高が価額として計上されます。

ただし減価償却累計額が記載されないため、減価償却を続けていくと資産の取得額が読み取れなくなります。
この場合は、損益計算書とは別に減価償却累計額を記載する必要があります。

 

間接法

間接法は、減価償却累計額から減価償却費を差し引きして仕訳する方法で、貸借対照表には減価償却累計額が資産の控除科目として記載されます。
では先ほどと同様、法定耐用年数が10年の車両を200万円で購入したときの減価償却費を間接法で仕訳してみましょう。

借方貸方
減価償却費20万円減価償却累計額20万円

 

こちらも定額法で減価償却費を計算しています。
直接法では固定資産を直接記入していたのに対し、間接法では貸方に減価償却累計額を記入します。
間接法で上記のように仕訳をすると、貸借対照表には200万円のうち20万円の減価償却費が計上されます。
これにより、現在価格が180万円だと読み取れるのです。
なお、損益計算書については直接法でも間接法でも表記に差はありません。

 

まとめ

今回は減価償却について、その目的や償却額の計算方法などについて詳しく解説しました。
減価償却には複数の計算方法があり、減価償却費と減価償却累計額のように似ているようで異なる勘定科目が存在します。
はじめのうちは、このような複雑な仕組みを難しく感じるかもしれません。
しかし資産運用をするにはこうした知識を得たうえで、正しい会計処理をすることが必要不可欠です。
自分で処理をするのに不安を感じたら、税理士や会計士に相談してみると良いでしょう。

会計処理を適当に済ませてしまうと、知らぬ間に帳簿が大赤字になっているといったことが起きかねません。
資産運用における会計処理は正しい知識を持って、確実に行うことをおすすめします。

ABOUTこの記事をかいた人

不動産投資TIMES(プロパティエージェント)編集部

「不動産投資TIMES」は、不動産による資産運用サポートを提供しているプロパティエージェント株式会社が運営するメディアです。 投資向けマンションデベロッパー満足度調査で3年連続総合No.1、入居率99.5%以上を実現している東証一部上場のプロパティエージェントだからこそ発信できる情報をお届けします。 不動産投資の初心者から経験者に至るまで、欲する情報は様々ではありますが、基礎知識から、疑問・不安解決、オーナー体験談、法制度、市場、最新トレンドなど、幅広く網羅的に情報を提供していきます。グレーなイメージを持たれがちな不動産投資ですが、不動産投資Times編集部は、読者の皆様の不動産投資をサポートできる真の情報を発信し続けます。