新築物件購入者必見!住宅瑕疵担保履行法について徹底解説

新築物件購入者必見!住宅瑕疵担保履行法について徹底解説

瑕疵担保責任という言葉を見た覚えのある方も多いのではないでしょうか。
簡単に言うと瑕疵担保責任とは、売買物に欠陥があった時に売主がその補償をしなければならないという責任です。
しかし、実際この瑕疵担保責任に関する法律がどのように定められているのかについて、正しく認識できている方はそう多くいらっしゃらないのではないかと思います。
この記事では、まず瑕疵担保責任がどのような法律によって規定された責任であるのかを解説し、その上で住宅瑕疵担保履行法という法律について詳しく解説していきます。

不動産投資の物件の探し方について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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瑕疵担保責任とは?

以下では、瑕疵担保責任の定義について、民法・宅建業法・品確法・住宅瑕疵担保履行法といった観点から解説します。

(1)民法

まず初めに、民法上で根拠となっている条文について確認しましょう。民法では、瑕疵担保責任について第570条と第566条第3項によって規定されています。

第566条 (第1項、第3項抜粋)
第1項 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
第3項 契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

第570条
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条第1項の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

このように、住宅などの売買の目的物に隠れた瑕疵(=欠陥)が発見された場合、発見してから1年以内であれば買主は売主に契約解除もしくは損害賠償の請求を行うことができるという条文となっています。
「隠れた瑕疵」という表現は曖昧ですが、買主が一般的な注意を払っても気づくことのできないような欠陥であって、買主が普通知ることのできないような欠陥や、売主からの説明がなかった欠陥は「隠れた瑕疵」に該当します。
また、この民法で定められている瑕疵担保責任は、住宅に限らず全ての売買物について売主側に発生する責任となっています。

(2)宅建業法

宅地建物取引業法では、宅地及び建物の売買契約時の瑕疵担保責任について、第40条で定められています。
第40条を要約すると

「宅地建物取引業者は、宅地や建物を売買する際に負う瑕疵担保責任について、責任の発生する期間を2年以上とせねばならず、2年未満とする特約を結んだ場合その特約は無効とする」

というものになります。
民法では、何年経過したとしても買主が瑕疵を発見してから1年以内であれば、売買契約の目的を達成することができない場合は契約の解除等ができるという内容となっています。
ただし、任意規定であるため、売主と買主双方の合意により期間等を定めることができます。
しかし、宅地や建物を取引する場合で売主が宅地建物取引業者の場合には、宅建業法により規定され瑕疵担保責任は引渡しから2年以上となります。

(3)品確法

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)ではどのように定められているのでしょうか。
瑕疵担保責任について記載のある第94条をまとめると、

「住宅を新築する際に建設工事を請負う業者は、住宅のうちの構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分に関しては、引渡し後10年の間、民法で定められた瑕疵担保責任を負わなければならない」

となります。
この法律によって、住宅の買主は「重要な部分」について、宅建業法で定められている2年間に比べて8年長い10年間瑕疵担保を追求することができます。
ただ、この法律は新築住宅についてのみ適用されるものであるため、既存住宅に関しては民法及び宅建業法しか適用できないことには注意しておきましょう。

(4)住宅瑕疵担保履行法

今回、特に解説していきたい法律がこの特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)です。
この法律は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)によって定められた瑕疵担保責任について、売主の倒産などによってその責任が十分に果たされないことを防ぐことを目的としています。
次章以降で詳しく解説していきたいと思います。

なお、瑕疵担保責任自体についてはこちらの記事に詳しく書かれています。ぜひご参考にしてください。

関連記事:瑕疵担保責任、隠れた瑕疵とはどんなもの?2020年4月民法改正の内容も解説

住宅瑕疵担保履行法とは?

住宅瑕疵担保履行法が成立に至るまでに経緯と、その概要について解説します。

新築住宅の瑕疵担保責任については、品確法によって厳しく定められています。
ですから、通常であれば住宅の欠陥が後に発覚したとしてもその欠陥を補償してもらえる、と購入者は安心できるはずです。
しかし、この安心感を根底から揺るがす事態が発生しました。

それは、2005年に発生した構造計算書偽装問題です。
この問題では、耐震基準を満たしていないにもかかわらずマンション等の新築住宅が売られていることが発覚しました。耐震基準を満たしていないということは、明らかに構造耐力上で重大な欠陥であり、隠れた瑕疵に該当します。
しかし、売主(宅建業者)が倒産してしまったために、このような住宅を購入した人々が本来享受できるはずの補償を受けることができず、非常に不安定な状況へと追い込まれてしまいました。

このため、住宅供給業者に瑕疵担保責任を確実に履行させ、住宅取得者の利益を保護する必要が生じました。
そこで、そのための資力を保険または供託という形で確保させることで瑕疵担保責任の履行確保を図るという「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が成立・公布されるに至りました。

この法律は、上記のように、住宅の品質確保の促進等に関する法律により定められた、新築住宅に対して建設業者及び宅地建物取引業者が負うこととなっている瑕疵担保責任の履行を徹底するため

(1) 建設業者による住宅建設瑕疵担保保証金の供託
(2) 宅地建物取引業者による住宅販売瑕疵担保保証金の供託
(3) 住宅瑕疵担保責任保険の引受けを行う住宅瑕疵担保責任保険法人の指定

などについて定めています。

売主である事業者が倒産した場合でも瑕疵に対する補修費用などを保証してくれる保険である「住宅瑕疵担保責任保険」については以下の記事で詳しく解説していますので、是非ご確認ください。

資力確保を義務づけられる対象者

本法律の対象者について要件を解説します。

資力確保措置を行わなければならないのは、新築住宅の請負人のうち建設業法に基づく建設業の許可を受けた建設業者と、新築住宅の売主のうち、宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業の免許を取得した宅地建物取引業者です。
一方で、元請けの事業者が請負契約全体に関して瑕疵担保責任を負っているため、下請の事業者は資力確保を行う必要はありません。
また、軽微な工事のみを行うため建設業許可が不要な業者は資力確保措置を行う責任は有していませんが、任意加入できる保険は用意されています。

対象となる「新築住宅」とは

本法律の対象となる物件について要件を解説します。

本法律で対象となっている「新築住宅」は、品確法第2条によって定められたものを指します。
同条において、「新築住宅」とは新たに建設された「住宅」であって、建設工事の完了から1年以内で、かつ、人が住んだことのないものを言います。

また、この「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋または家屋の部分であり、構造上・利用上の独立性を有しているものを言い、例えば事務所と住居などが混在した併用住宅についても住居部分のみならず、併用住宅全体の共用部分が「住宅」に該当することとなります。
民間賃貸住宅や公営住宅などでも上記要件に当てはまる場合は資力確保の対象となります。

例えば、同一の敷地内に別棟を新たに建てた場合、人が居住する目的で別棟が建てられている時には、独立した別の新築住宅として扱われ、売主には資力確保を行う義務が発生します。
ですが、旅館やホテルを建てた場合はその建物は人を宿泊させる営業を行うための建物であるため、住宅には該当しません。

分かりづらいですが、「人を宿泊させる目的でなく、居住させる目的」で建てられており、「外部との独立した出入り口が存在しているなどの利用上の独立性と構造上の独立性」を有している建物のうちで、工事完了から1年以内のもの、と考えておきましょう。

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資力確保措置の方法

資力確保の方法は、保険または供託の2種類がありますが、それぞれの方法について解説します。

(1) 保険

建設業者または宅地建物取引業者が資力確保措置に保険への加入を選択する場合は、住宅瑕疵担保責任保険法人と契約し保険に加入することとなります。
この保険では、住宅の構造耐力上主要な部分等に瑕疵が判明し、構造耐力上主要な部分等が基本性能を満たさない場合に、補修等を行なった場合に保険が支払われる仕組みとなっています。

また、取り扱っているのは火災保険等を扱う一般の損保会社ではなく、瑕疵の発生を防止するための住宅の検査と一体として保険を行うために国土交通大臣が指定した上記の保険法人となっています。

(2) 供託

建設業者または宅地建物取引業者が資力確保措置として保証金の供託を行う場合、法令により定められた金額の現金や国債などを、法務局等の供託所に預け置くこととなります。住宅品質確保法で定められた、引渡し後10年間の瑕疵担保責任の期間中は、保証金を取り戻すことは基本的にできません。

供託額は、引き渡した新築住宅の戸数により異なります。例えば、引き渡した戸数が5戸の場合は計2千8百万円、50戸の場合は計7千万円、500戸の場合は計1億4千万円となります。

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基準日における届出手続きについて

本法律の手続方法や期限などを解説します。

住宅瑕疵担保履行法では、対象となる住宅を引渡した住宅事業者は、年に2回の基準日(毎年3月31日および9月30日)ごとに、対象となる住宅について対象の戸数及び保険や供託の視力確保措置について、基準日から3週間以内(4月21日、10月21日までに)に所管行政庁に届出手続きを行うことが必要となっています。

まとめ

今回は住宅瑕疵担保履行法について詳しく解説しました。
この法律によって、万が一新築物件に何らかの欠陥が見つかった場合でもその補償を確実に受け取ることができるので、安心して取引ができることでしょう。

しかし、瑕疵担保責任のための資力確保が義務づけられるのは、品確法が適用される「新築住宅のうち、売主が宅建業者、または請負者が建設業者である」という要件を満たしている場合のみであり、中古住宅の取引や、個人間での売買の時は適用されません。
また、中古住宅で個人間の売買の場合、瑕疵担保免責という条項が契約書に記載されている場合もありますので、投資として不動産売買をする際は瑕疵担保責任について十分留意して取引を行うようにしましょう。

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