【専門家監修】平成29年度税制改正によって、不動産投資はどのような影響を受ける?

平成29年度に、税制の大幅な改正が行われることになり、各方面において話題となっています。
ではそもそも今回の税制改正の内容はどのようなものなのか、いったいなぜ今年度の税制改正がこんなにも注目を集めているのか、そしてこの税制改正が不動産投資にどのような影響を与えるのか、解説していきます。

配偶者控除の見直し

今回の税制改正で最も大きな話題となったのがこの配偶者控除の見直しです。
所得税における控除額を引き上げ、所得税が発生する収入額の上限を底上げする狙いがあります。
パートの方などの所得税が発生しにくくなり、より経済活動を活発にすると同時に、さらに積極的に女性の社会進出を推進することを目指して今回の配偶者控除の見直しが行われました。

配偶者控除とは

そもそも配偶者控除というのは、税金を納める人に控除条件を満たす配偶者がいる場合の所得控除です。
配偶者控除を受けるためには、配偶者はその年の12月31日の時点で以下の4つの条件を満たしていなければなりません。

1.民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
2.納税者と生計を一にしていること。
3.年間の合計所得金額が38万円以下であること。
4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。(国税庁HPより引用)

日本における税金の一種に所得税というものがありますが、これは国民一人一人の所得額に応じて課される税金です。
今回話題となっている配偶者控除は所得控除であり、税金計算上の所得額を減らす制度です。
これによって合計所得金額が減って、結果として所得税が減るという仕組みです。

ここで注意しなければならないのは、配偶者控除を受けられるのは納税者で、納税者の所得額から38万円が控除され、納税者の所得税が減るということで、配偶者控除によって配偶者が税金を支払わなくてよい、というのは誤りです。

配偶者控除の見直しの具体的な内容

今回の税制改正でこの配偶者控除はどのように変わるのでしょうか。
簡単に言いますと、配偶者控除を満額の38万円受けられる条件が、配偶者の収入合計金額が103万円以下から150万円以下に引き上げられます。
厳密に言うと、配偶者控除が変わるのではなく、配偶者控除とは別の配偶者特別控除という、配偶者の収入合計金額が103万円を超えた場合の控除制度において、控除額が38万円となる範囲が拡大されます。
これによって配偶者本人に他の所得がない場合、給与収入が150万円以下ならば世帯主納税者が38万円の所得控除を受けられることになります。

ここで注意していただきたいのは、先述の通り配偶者控除によって配偶者の税金がなくなるという訳ではないということです。
配偶者本人が所得税を支払わなくても良いボーダーは今まで通り103万円です。

しかし、今回の税制改正後、配偶者の収入が141万円以下ならば、納税者が受ける配偶者控除による所得税の控除額の方が、配偶者が支払わなければならない所得税額よりも多くなるため、実質減税の恩恵を受けられるということになります。
ただし、配偶者の収入が年130万円を超えると社会保険の被扶養者から外れてしまうことになりますので、その点について注意は必要でしょう。

ここで、改正によって注意しなければならない点が一つできました。
それは、納税者本人の合計所得金額によって受けられる控除額が変わってくるということです。
納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合は最高38万円の控除を受けられますが、950万円以下ならば最高26万円、1000万円以下は最高13万円、それ以上は配偶者控除を一切受けられなくなってしまいます。

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不動産投資への影響

ではこの配偶者控除の改正は不動産投資にどのような影響を与えるのでしょうか。
最も大きな影響は、納税者本人の合計所得金額が制限を超えてしまうことで配偶者控除を受けられなくなってしまう可能性が高くなるということです。
課税所得は給与収入から給与所得控除分を差し引いた給与所得に不動産など他の所得を足し合わせて計算します。
不動産所得に対する控除は特にないため、不動産収入は合計所得金額に直接影響してきます。
そのため、特に本業とは別に副業として不動産投資を行っている場合は所得制限を超えてしまう可能性が高くなります。

この対策として考えられるものとして、
①青色申告者になり配偶者を専従者として給与を支払い、課税所得額を減らす
②法人化の手続きをとり同じく配偶者や自分自身に給与を支払い、その他経費を計上し余った分は会社に内部留保する
といった方法が考えられます。

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中小企業者等に係る軽減税率の特例の延長

中小企業者等に対する法人税の軽減税率が平成24年4月1日から平成29年3月31日にかけて実施されていましたが、この軽減税率が平成29年4月1日からさらに2年間、平成31年3月31日まで継続されることも決定されました。
この軽減税率の継続が不動産投資にどのような影響を与えるのでしょうか。

中小企業者等に係る軽減税率とは

中小企業者等というのは主に資本金が1億円以下で設立された中小法人のことを指します。
全ての法人には法人税が課せられており、課税所得に応じてそのうちの一定の割合が課税されていました。
その税率は基本的には一律でしたが、中小法人のうち所得金額が年800万円以下の法人は低い税率が採用されていました。

しかし、近年の経済状況の低迷や、中小企業の財政難などを鑑み、平成24年度から、暫定的に中小法人のうち所得金額が年800万円以下の法人について課せられていた税率を19%から15%までさらに引き下げる軽減税率を導入していました。
中小企業者等に係る軽減税率とは、この法人税の軽減税率のことを指します。
今回、この制度がさらに2年間にわたって延長されることが決定しました。

延長による不動産投資への影響

中小法人への軽減税率が延長されたことで、ある程度小規模であっても、不動産投資法人を設立するメリットが引き続き継続されています。
法人を設立することによって、収入を法人で管理し配偶者の方に従業員として給与を支払ったり、その他必要経費を計上したりして合計所得金額を減らし、節税をするという方法が一般的です。
通常でも所得税より法人税のほうが安い場合がありますが、特にこの軽減税率の範囲内に所得を収めることによってさらなる節税が期待できます。

改正ではなく継続なので、不動産投資に対する新たな影響は考えにくいですが、今まで通りの方法で節税ができるという点では、不動産投資にとって良い影響をもたらすと考えられます。

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タワーマンション節税の規制

主に相続税などの税金対策として用いられていたいわゆるタワーマンション節税が今回の税制改正によって実質規制という形になりました。
ここではタワーマンション節税とはどのようなものだったのか、そして今回導入された新しい制度はどのようなものなのかについて解説していきます。

タワーマンション節税とは

タワーマンション節税とは、従来の制度を利用した相続税の節税方法の一種です。
従来の制度では、建造物に対する税金は、その部屋が何階に位置しているか、その物件が南向きか、などといった条件はすべて無視し、その物件が専有している床面積の大きさとその土地の価値で決定されていました。

しかし、現実にはより高い階の部屋のほうが価値は高く、その他にも南向きである、角部屋である等の理由などで、部屋の価値は大きく異なります。
しかし、かかる固定資産税や相続税は同じマンションの同じ広さの部屋ならば全く変わりません。

それならばより価値の高い部屋を買っておけば、価値がより低い部屋と同じ額の税金で済むため、実質的に節税となるのがタワーマンション節税の考え方です。
この方法は非常に大きな節税効果があったため、特に富裕層の間では人気の節税方法でした。

新しい規制について

今回の税制改正は、超高層建築物(高さが60mを超える建物)について、税金の金額を決める際に新たに補正率を導入し、マンションの実際の市場価値の高低とそれに対する税額の大小を近づけると発表しています。
具体的には、1階の部屋にかかる税金を100としたとき、そこから一階上がるごとに10を39で除した数を加えた金額を加算していくと発表されています。
また、その他市場価値に影響を及ぼすと考えられる要素についてもそれぞれ税金の金額に加味されるという発表もされています。

この新しく導入される補正率や、設備などを考慮した税額の設定によって、税額と市場価値が比例するようにし、明文化はされていませんが、結果として従来のような節税を排除しようというのが本税制改正の狙いです。

タワーマンション節税の規制が不動産投資にもたらす影響

今回の規制で考えられる影響としては高層階の部屋の価値の下落です。
もちろん、高層階に住みたいと思う人は多くいるので価格の激しい下落は考えにくいですが、タワーマンション節税のために購入する人の需要が減る分、ある程度の価格の下落は発生すると考えられるでしょう。

一方で、先ほどの「1階を100とし、一階上がるごとに10を39で除した数を加えた金額を加算していく」という条件のもとで計算すると、40階でようやく税額が1.1倍になるという計算になります。
そのため、依然市場価値と税額が比例しているとは言いづらく、結果的に従来のタワーマンション節税は効果こそ薄くなりましたが、まだまだ通用すると考えられます。
従って、今回のこの改正が不動産投資に大きな影響をもたらすことは考えにくいです。

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既存住宅のリフォームにかかわる特例措置の拡充

既存住宅のリフォームの内容において、省エネ改修工事あるいは家のバリアフリー化の工事を行った場合、その標準的な工事価格の10%がその年度の所得税額から差し引かれるという特別控除が平成21年度からスタートしていました。

今回の税制改正で、新たに耐震化改修工事についても、この特別控除が認められることになりました。
ここでは、対象となるリフォームの内容をより詳しく説明し、不動産投資家はどのように対応するべきなのかについて解説していきます。

対象となるリフォーム

このリフォームにかかわる特別控除に該当するのは、以前から対象となっていた省エネ改修工事、バリアフリー改修工事、三世代同居対応改修工事の3つに加え、住宅の耐久性向上改修工事に省エネ改修工事あるいは耐震改修工事を同時に行う工事が加えられました。ここでそれぞれの具体的な内容を説明します。

省エネ改修工事

省エネ改修工事に当てはまるための条件は、「住宅全体の一定の省エネ性能が確保される場合」という記載がされています。
これには書類による証明が必要であり、この証明がないと省エネ改修工事として認定を受けられません。
これと加えて省エネ改修工事の対象となる工事は床、壁、天井の耐熱工事、そして太陽光発電装置あるいは太陽熱利用冷温熱装置の設置工事です。
特に、窓の改修工事と各種耐熱工事に関しては、平成25年度に定められた基準に適合するものでなければなりません。

バリアフリー改修工事

バリアフリー工事に当てはまる工事は、廊下の幅を広くしたり、階段を緩くしたり、浴室や便所の改修、手すりを設置すること、床に滑り止め加工することなどです。
工事のうちどれが必須という条件はないですが、工事を行うのは、50歳以上の者、要介護又は要支援の認定を受けている者、障害者である者、その者の親族のうち要介護又は要支援の認定を受けている、若しくは障害者であるという条件に該当する者、又は65歳以上の者のいずれかと同居している者でなければなりません。

三世代同居対応改修工事

三世代同居対応改修工事の条件は、キッチン、浴室、トイレ、玄関の増設を行うことです。
また条件として、リフォームした後にいずれか二つ以上が複数にならなければなりません。

耐久性向上改修工事

耐久性向上改修工事とは、外壁や浴室、土台や基礎、地盤に関する劣化対策工事や、給排水管の維持管理や更新の工事のことを指します。
この工事は増築、改築、大規模の修繕であり、認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づく工事費用(補助金控除後)の合計額が50万円を超える工事であることが条件です。

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不動産投資にあたってどのような対応をすべきか

不動産投資の一環として部屋の賃貸を行っている場合、バリアフリー改修工事および三世代同居対応改修工事に関しては賃貸業とはあまり関係のないものかもしれませんが、それ以外では今回の特例措置は有効であると考えられるかもしれません。
省エネ改修工事に関しては、居住者にとってより快適かつ安全な住宅環境を提供できるうえ、なおかつ特別控除により自身の税金の減額にもつながります。
快適かつ安全な居住環境になることによって入居率の向上、そして家賃収入の向上も期待できるため、まさに一石三鳥です。

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広大地の評価の見直し

広大地とは、周辺にある宅地と比べて著しく面積の大きい宅地で、開発を行う場合、道路や公園、教育施設、医療施設などを行政や自治体など公共が造成し負担しなければならない土地のことを言います。
ただし、大規模工場用地や中高層集合住宅などの敷地用地に使用することが適切とされる場合は広大地に含まれません。

従来の評価方法では、面する路線の路線価および土地の面積のみで評価されていましたが、今回の見直しでは、従来までの路線価と土地の面積に比例した評価方法から、土地の形状なども総合的に評価し、より土地の価値を正確に表すような評価方法になりました。

不動産投資にあたえる影響

土地売買を不動産投資の一環として行っている方にとっては、今回の改正は注意しなければなりません。
所持している土地の形によって今回の改正が良い方向に働くか悪い方向に働くかは大きく異なってきてしまうため、広大地の条件を満たす土地を所有している方は評価条件を詳しく知る必要があります。

まとめ

平成29年度税制改正では、不動産投資に深くかかわってくる重要な改正が多くありました。

不動産投資を行っている場合、これらの改正についてしっかりと把握し、より詳細な内容についてもアンテナを張りながら、新しい税制に適応できるようにしていくことが必要です。
税制改正についてしっかりと把握し、新しい税制の影響で投資に失敗しないように注意しましょう。

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