【専門家監修】不動産投資による節税の仕組み解説!経費を使って賢く節税する方法を紹介

自分で納める税金はできる限り少なく抑えたい、という方も多いのではないでしょうか。
しかし同時に、「節税といっても何をすればいいの?」という質問も多いでしょう。今回は不動産投資と節税の関係性についてお話しをさせていただきます。
収入源の一つとして不動産投資を考えている方は必見です!

不動産所得にかかる税金とは

まずは、不動産を取得した場合にどれほどの税金がかかるのか、そもそも不動産所得とはどういったものを指すのかを確認する必要があります。
不動産所得とは、次の三つのうち、事業所得や譲渡所得に該当する所得を除いたものを指します。

①土地や建物などの不動産の貸付
②地上権など不動産の上に存する権利の設定および貸付
③船舶や航空機の貸付

多くの人にとっては①(および②)が関係すると思われますので、今回は土地や建物の貸付にかかる部分の解説をします。

所得税の計算

第一に、不動産所得の金額の計算方法について解説しておく必要があります。不動産所得は以下のように計算されます。

総収入金額 - 必要経費 = 不動産所得の金額

最終的に算出された不動産所得の金額が、所得税の課税対象額になります。つまり、必要経費が多くなればなるほど、納めるべき税金が少なくて済むという構造になります。

不動産とは別で給与を得ている場合

サラリーマンで不動産投資をしている方のように、不動産収入のほかに給与を受け取っている場合には、この不動産所得の金額と、給与からなる課税対象所得を合算します。そして、合算して算出された金額が、所得税対象額となります。

例えば給与所得のうち、課税対象となる金額が700万円だとします。そこにさらに不動産所得が100万円あったとすると、所得税の課税対象額は合計で800万円となります。一方で、課税対象の給与所得が700万円で、不動産所得が100万円の損失だった場合、課税対象額は700万円+(-100万円)=600万円となります。

このように、ある所得で生じた損失を、他の所得で生じた利益と相殺することを損益通算と言い、不動産所得は総合課税の対象となる他の所得と損益通算をすることができます。

なお、不動産を売却したときに得られる所得は譲渡所得に該当し、こちらは他の所得と分離して課税されるため、不動産所得や給与所得は損益通算ができませんので注意が必要です。

この不動産所得の考え方や損益通算の考え方が、節税に響いてきますので、この二つはよく覚えておきましょう。また同時に、上記の損益通算については確定申告を行なうことにより享受できるものであるため、自ら確定申告を行う必要があるという点についても心得ておきましょう。

経費計上できるもの・できないもの

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不動産所得に関して確定申告をする際に、何を経費として計上できるのか、反対に何が計上できないのかをしっかり把握しておかなければなりません。

確定申告について詳しい内容は、「確定申告で計上できる経費の項目とは?」で紹介していますので、こちらもご確認ください。

経費計上できるもの

根本的な考えとして、不動産投資における必要経費とは、不動産投資による収入を得るために生じた支出のことを指します。具体的には以下の項目です。

  • 管理費
    エレベーターや電気設備などの建物に付随する設備の保守・点検
    共用部分の清掃
    法定点検業務(消防設備)
    管理組合のサポート業務
    などに生じるお金
  • 修繕積立金
    将来の建物の劣化等に備えて計画的に建物管理会社に支払うお金
  • 賃貸管理代行手数料
    賃貸管理会社に支払うお金
  • 修繕費
    入居者が退去した後の壁紙変更や破損部の取り換えなど、細かいメンテナンスに使われるお金
  • 損害保険料(火災保険料・地震保険料)
    損害保険会社に対して支払っているお金
  • 租税公課
  • 借入利子
    ローン返済額の利息部分
  • 減価償却費
    建物、建物附属設備、器具備品などの減価償却資産の減価償却費
  • その他
    物件の確認や管理会社との打ち合わせなど、不動産所有や運営に関する交通費
    不動産投資に関連する書籍購入にかかる新聞図書費
    管理会社との連絡などに用いた電話代などの通信費
    税理士へ支払う手数料

経費計上できないもの

先ほどの通り、不動産収入を得るために必要な支出以外は経費計上されません。

  • 修繕費や各種保険料等で自宅に関わるもの
    投資した不動産に自らが住んでいる場合は、その一室については収入を得るためのものとはカウントされませんので、自宅部分の修繕費等は費用計上できません。
  • 不動産売却によって生じる譲渡損
    自分の所有する不動産を売却することで生じた譲渡損は、不動産所得でなく譲渡所得となる為、不動産所得の必要経費には算入できません。
    ちなみに、不動産売却に伴って生じる不動産売却時の仲介手数料、測量費等、土地や建物を売るために直接要した費用、立ち退き料、建物の取り壊し費用などは計上可能です。
  • ローン返済のうちの元本部分
  • 私生活の費用
    私生活の費用なのか、不動産投資にかかる費用なのか明確に線引きする必要があるため注意が必要です。

節税効果とキャッシュフローのバランスを考えよう

不動産投資がどのようにして節税効果を生み出すのかをここで確認しましょう。
冒頭の例でも確認しましたが、サラリーマンの場合は損益通算の考え方を利用して、不動産投資の結果を赤字にすることで、所得税が返ってくることがあります。

会社からもらう給料のうち、課税対象所得額が700万円のケースを考えます。
通常ですと所得税が

700万円 × 0.23 - 63万6千円 = 97万4千円

となり、その分と復興特別所得税分を加算した額が自動的に源泉徴収されています。

しかし不動産投資で100万円分赤字を出していた場合、損益通算でその年の課税対象所得は600万円となり、所得税額は

600万円 × 0.20 - 42万7千5百円 = 77万2千5百円

となり、約20万円分が還付されます。これが不動産投資による節税の仕組みです。

しかし不動産投資で赤字が出ているのであれば手元のお金が減っているのだから意味がない、という方も多いでしょう。
ですが、ここでいう損失とは“帳簿上の損失”を意味し、減価償却費はここで活用します。

減価償却費とは、不動産の取得費用を数年に分けて費用計上するというものでした。
つまり、毎年現金支出が生じないにも関わらず、一定の費用を計上することができます。その結果、必要経費が増加し所得金額が少なくなります。不動産投資のこのような性質によって、手持ちのお金を減らすことなく税額も抑えることに繋がり、節税術の一つとして利用できるといえます。

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実際どのくらいの額が経費計上される?

では、実際に不動産投資をされている投資家は、経費をどの程度計上しているのでしょうか? 以下の例を参考にしてみましょう。

計上される経費の額の例

まず、投資物件は以下のようになっています。

家賃設定 ¥86,500/月
間取り 1K
広さ 22.65㎡

これに対し、1年あたりに経費計上された項目は下のようになりました。

外注管理費 ¥36,360
修繕積立金 ¥80,364
損害保険料 ¥5,088
租税公課 ¥65,900
借入金利子 ¥457,043
減価償却費 ¥508,742
合計 ¥1,153,497

御覧のように、借入金利子と減価償却費が比較的大きな値となることがわかります。減価償却は、物件への投資から数年で減少が始まる場合があります。しかし、借入金利子の額は年々減少していきますが、おおむね額は変わりません。

通年で見ると、以下のような収支になります。

収入(¥86,500×12月) ¥1,038,000
経費合計 △¥1,153,497
所得 △¥115,497

所得はマイナスになりましたが、これはあくまでも税務上の所得ですので、実際に手元のお金の収支がマイナスになるというわけではありません。というのも、減価償却費が現金の支出によるものでなく、不動産の価値の減少を表す値だからです。

投資前に経費をあらかじめ計算する際の注意

先に例を示しましたが、物件の属性によって経費の額は大きく異なってきますので注意しましょう。
具体的には、以下のような点を把握しておくとよいでしょう。

外注管理費・修繕積立金・損害保険料は投資年数によらずほぼ一定

外注管理費、修繕積立金、損害保険料は、各物件や保険会社によって異なりますが、値が定まってからはほぼ一定額の支出となります。したがって、比較的算出しやすい方の勘定科目といえるでしょう。

損害保険料は使用した期間分だけ参入する

一般的に、住宅用の火災保険料や地震保険料は契約期間分、例えば10年分などを契約締結時に一括で支払うことになります。しかしながら、経費計上に当たっては、使用した期間に対しての費用が計算されます。

例えば、10年間の火災保険50,000円を初年度に一括で支払った場合を考えてみましょう。この場合、初年度に50,000円を経費に計上するのではなく、10年の間毎年5,000円を経費に計上します。

したがって、2年目以降はその年に発生した現金の支出を抑えながら、経費を増やすことができるようになります。1年目は実際に支出があるため、経費に計上することを忘れることは少ないかもしれませんが、2年目以降は経費計上することを忘れないように注意しましょう。

借入金利子は減少していく

月々の借入金利子は、一般的に以下のように計算されます。

月々の借入金利子 = 元本残高 × 利率(年利) ÷ 12

基本的には、毎月借入金の返済はされるので、元本残高は減少していきます。したがって、支払いが進むにつれて月々の借入金利子は減少していくということがわかります。

減価償却費計上による節税効果は薄れた

税制が改正され、不動産本体部分に関しては定率法が適用されなくなり、定額法による減価償却のみとなりました。
これによって、多額の減価償却費を計上し所得税の還付制度を用いて節税する方法は、近年では効果が薄れてしまいました。
そのため、不動産投資の節税という色合いは薄れつつあり、どちらかというと資産運用をして堅実にお金を増やしていく、ということが注目されつつあります。

その他節税効果のある施策

節税の方法は、なにも減価償却に限定されたものではありません。ほかの方法を簡単にご紹介します。

青色申告を利用する

青色申告で確定申告を行うと、白色申告に比べて節税することができます。というのも、青色申告を利用すると最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除という所得控除が受けられるからです。なお、白色申告にはこのような特別控除はありません。

青色申告では、一般的には複式簿記と呼ばれる形態で帳簿を付ける必要があります。一方の白色申告では単式簿記という形式でも問題ありません。
一般に、複式簿記の方が単式簿記に比べて記帳に手間がかかります。したがって、青色申告をする際には、節税効果が得られる一方で会計手続き上の手間がかかってしまうということを心得ておきましょう。

取得不動産を選定する際に事業的規模が適用されるものにする

これは、同じ家賃収入が見込める場合、マンション一棟の部屋数が10室以上あるものに関しては不動産賃貸が事業規模とみなされるという制度を活用する方法です。
事業的規模にする場合、青色申告で受けられる控除額が大きくなり、配偶者などに対する専従者給与が経費として計上できるようになるので、大きな節税効果をもたらします。

まとめ

税金対策は各種ありますが、簡単にできる減価償却費を利用したものは昔に比べると効果的ではなくなっています。
よく不動産投資の節税の恩恵がいつまでも得られるというような書き方をした記事も多くありますが、不正確な情報であることが多いので注意が必要です。
なお、税金対策のみに気を取られすぎて、良い物件を賢く運用することを忘れてしまっては元も子もありません。
どの部分で節税できるか、どうすれば不動産収益を大きくできるか、この両輪を適切に動かしていきましょう。
関連記事:【専門家監修】20代必見!資産運用で重要な”理想的なポートフォリオ”の作り方

また、いい物件を賢く運用していくにあたって大切な物件選びと管理については下記記事をご参照ください。
参考記事:管理と物件が重要!不動産投資で家賃収入を得る方法を実例で紹介

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