不動産投資における脱税とは?徳井さん事例に学ぶ節税・脱税の違い

What is tax evasion in real estate investment? Differences in tax and tax evasion learned from Tokui's case

不動産投資においても「脱税」が存在しますが、一方で「節税」も存在します。どちらも、結果的に税金が安くなるという点は同じですが、前者は犯罪で後者は犯罪にはなりません。自分では節税と思っていても脱税と認定されることもあります。

脱税と認定されれば、追徴課税を支払う、場合によっては重加算税の支払い、過少申告加算税の支払い、起訴されるということも念頭におく必要があります。

そこで今回は、「脱税と節税の境目はどこなのか?」「脱税と判断されるときはどのようなケースか?」そして、「脱税と判断された場合はどのようなペナルティがあるか?」など、不動産投資における脱税、節税について詳しく解説していきます。

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徳井さんの事例はなぜ脱税で起訴にならないのか

節税と脱税の境目はどこなのか? 気づかない間に脱税になってしまっていた……という事例やニュースは度々耳にします。そこで、不動産投資における脱税・節税を解説する前に、最近話題に挙がっている人気お笑い芸人チュートリアル徳井さんが、国税庁に所得の申告漏れを指摘されていた件を簡単に解説します。

徳井さんが行ってしまった内容としては、以下の通りです。

  • 2016年~2018年までの3年間に渡り所得の申告をしていない
  • 洋服代などの私的な支出を経費として計上していた

つまり、2016年~2018年は無申告で納税すらしておらず、私的な費用も経費として計上するという「所得隠し」をしていたということです。しかし、「脱税」として起訴されているわけではなく、重加算税等を含めて約3,400万円を追徴課税したことで事なきを得ています。

この案件は脱税として実刑を受けてもいいレベルですが、なぜ起訴にならなかったのでしょうか?色々な意見がありますが、一番は「脱税の意図がない」「悪質ではない」と判断されたからでしょう。

納得いかない方も多いかもしれませんが、脱税する意図があり悪質だった場合は、基本的に「脱税行為」として起訴されます。どのような目的でその行為を行ったか、が判断材料となり、起訴・不起訴に大きく影響してくることがよくわかる一例ではないでしょうか。

不動産投資における脱税と節税の違い、境目とは

徳井さんの話のように脱税か否かの判断には「境目」があり、その境目を超えたと判断されれば、徳井さんも脱税として起訴された可能性があります。これはほかの所得にも同じことが言えます。つまり、不動産投資における「不動産所得」に関しても、脱税と節税の境目があるのです。

この点について、以下の3つについて知っておく必要があります。

  • 不動産投資の所得の仕組み
  • 不動産投資における「節税」
  • 不動産投資における「脱税」

脱税として起訴されるか、徳井さんのように「追徴課税」で済むかなどは、「意図的なのか?」「悪質なのか?」「どのくらいの金額なのか?」などによって異なります。税金関係に関してはケースバイケースのため、明確に「ここが境目です」と、アドバイスすることはできません。ですので、節税と脱税の境目が曖昧だと感じたら、税理士に相談することが得策です。

不動産投資の所得の仕組みとは

脱税と節税の境目を知る前に、不動産投資の所得と所得税の仕組みを理解しておかなければいけません。というのも、脱税するにしろ節税するにしろ「税金」に関することなので、そもそも「不動産所得税」とはどのような税金かを知っておかなければ理解できないからです。
では、不動産投資の所得について解説していきます。

不動産所得の計算式
不動産所得は、「年間家賃収入-年間経費」で算出されます。そして、この所得がプラスになれば、その所得(≒利益)に対して税金がかかるという仕組みです。つまり、年間家賃収入を減らすか、年間経費を増やすことで不動産所得を減額することができます。

そして不動産所得を減額することができれば、所得税も減額されます。これが、不動産投資で節税をする、もしくは脱税をしてしまう理由となります。

不動産所得は総合課税
不動産所得は総合課税の対象となります。総合課税とはほかの所得と合算し税金を計算するという制度なので、会社員であれば給与所得と、個人事業主であれば事業所得と合算します。そして、適用される所得税率は、以下のように累進課税なので所得が高くなるほど高税率になります。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

 

仮に、給与所得が630万円であれば「630万円×20%-427,500円=832,500円」が所得税となります。

関連記事:不動産投資に関わる税金のこと、理解していますか?

不動産投資でいう節税とは

次に、不動産投資でいう節税とは何か解説していきます。

簡単にいうと、不動産投資の節税とは「認められた経費を適切に計上すること」によって、不動産所得を下げることです。そのため、節税と脱税の境目は、計上している経費や家賃収入が「適正と判断されるか否か」というラインになってきます。

法律の許す範囲で経費計上する
上述したように、不動産所得は年間家賃収入から年間経費を差し引いて計算します。そして、計上できる経費とは以下のように物件運営に関する経費です。

  • ローン返済額の金利部分
  • 租税公課(固定資産税、印税、不動産取得税など)
  • 原状回復費用(退去時の修繕費用)
  • 管理会社へ支払う管理委託手数料
  • 保険料(火災保険料・地震保険料)
  • 管理費や修繕積立金(区分所有の場合のみ)
  • 共用部の修繕費用(一棟投資の場合のみ)
  • 減価償却費用 ※次章参照
  • 税理士への報酬(確定申告を依頼する場合のみ)
  • その他経費(物件運営のための交通費など)

このような経費は物件運営に関する経費になるので、計上することで所得を減額できるというわけです。節税とは、このような経費を漏れなく計上して、合法的に所得を下げることを指します。
関連記事:不動産所得に係る税金と計上できる経費とは?

適切な減価償却費用を計上する
前項で「減価償却費用」とありましたが、なかなか見慣れない言葉だと思います。減価償却費用とは、建物の取得費用を、毎年少しずつ経費計上できる費用です。計算式は、「建物価格×償却率」となっており、償却率は構造などによって異なります。

そして、不動産価格は「土地+建物」の合計額になっており、その内訳は売買時に決めることができ、一般的には以下のように土地・建物価格を案分します。

  • 固定資産税評価額の比率によって案分
  • それぞれの時価によって案分
  • 不動産鑑定士の鑑定評価額に従い案分

いずれの方法にしろ、建物価格を適正価格に設定し売買することで、適正な減価償却費用を計上することが正しい「節税」です。

関連記事:不動産投資による節税の仕組み解説!経費を使って賢く節税する方法とは

不動産投資でいう脱税とは

節税の仕組みが分かったと思います。前項を踏まえ、脱税とは以下のような行為です。

  • 前項の「経費」を私的なものまで計上する
  • 建物価格を不自然に高くして減価償却費用を高く計上する
  • 「家賃収入」を計上しないor減額して計上する

つまり、計上する経費を不正に高くするか、家賃収入を不正に低く計上するか、実際に不動産投資に関わる経費か、そうでないのかが、不動産投資でいう脱税になります。徳井さんの場合は、私的なものを経費にしただけではなく、そもそも所得を申告していませんでした。

そのため、不動産投資に置き換えると、私的なものを経費計上した上に、不動産所得がプラスなのに申告しなかったということです。このように、徳井さんの所得隠しは実は悪質であることが分かるでしょう。

不動産投資で「脱税」と判断されるパターンとは

ここまでで、不動産投資の脱税と節税の仕組みや、境目に関して分かったと思います。次に、不動産投資で脱税と判断されるパターンを紹介していきます。

不動産所得を無申告

まずは、不動産所得を無申告するパターンです。言うなれば、「家賃収入自体ありません」として、確定申告自体しないことです。サラリーマンが給与所得のほかに、家賃収入などの「不動産所得」がある場合には20万円以下であれば所得税の確定申告をする必要はありません(ただし、住民税については確定申告を行う必要があります)。

逆に言うと、不動産所得が20万円超ある場合は、申告して納税しないと脱税になる可能性があるということです。ただ、「小規模だし不動産所得があること自体ばれないだろう」という意識で、不動産所得を申告しないのがこのパターンです。

仮に、区分マンション投資という小規模投資だとしても、もし管理を依頼している管理会社に税務調査が入ったらどうでしょうか? その税務調査から不動産所得があるのに無申告であることが分かり、脱税と見なされる可能性があります。

経費を水増しして計上するパターン

次に、経費を水増しして計上するパターンです。具体的には、以下のように水増しすると脱税になります。

  • 私的な旅行費用を「交通費」などの名目で経費計上
  • 私的な飲み代を「接待交際費用」として計上
  • 架空の領収書で本来支払っていない「管理委託費用」を経費計上

このように、物件運営に関係ない費用を経費として計上する、もしくは経費扱いになるものを不正に水増しするというパターンです。

脱税と判断されたときはどうなる?

脱税と判断されたときには、以下のような追ペナルティがあります。

  • 追徴課税
  • 過少申告加算税
  • 重加算税
  • 延滞税

また、当然ながら上記の「追徴課税」以外に、脱税として起訴され有罪となった場合は前科が付くので、社会的信頼が損失するという大きなリスクもあります。繰り返しますが、追徴課税だけで済むか起訴されるかは、意図的か、悪質か、脱税した金額はいくらか、などによって異なります

過少申告加算税

過少申告加算税とは、実際の所得よりも少ない金額を確定申告した場合に課せられる税金です。たとえば、「経費として計上した項目が私的な経費として税務署に認定された」場合には、確定申告した所得は実際の所得よりも少なくなります。

ただ、修正申告するタイミングによって税率は以下のように変わります。

修正申告するタイミング50万円以内50万円超
税務調査より前ペナルティなしペナルティなし
税務調査連絡した後5%10%
税務調査の後に修正10%15%

 

上記のパーセンテージは、「追加で支払うべき税額」に掛けられます。

重加算税

重加算税とは、意図的に「脱税」したと見なされた場合に課せられる税金です。追徴課税の中で、最も重いのがこの「重加算税」になります。重加算税と見なされた場合には、「追加で支払うべき税額」に35%~40%もの税率が課せられます。

延滞税

延滞税とは、「決まった期日までに納税しなかった」場合の税金です。延滞税は、延滞期間によって以下のように税率は異なります。

  • 納付期限から2カ月以内:原則年3%(令和元年12月現在2.6%)
  • 納付期限から2カ月を超える:原則年6%(令和元年12月現在8.9%)

参考URL:【国税庁】延滞税の割合

こちらも、前項までと同じく「追加で支払うべき税額」に掛けられる税率です。

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不動産投資の脱税事例を紹介

次に、不動産投資の脱税事例である以下を紹介します。

家賃を過少申告していた事例

サラリーマンで不動産投資をしているCさんは、都内でアパート経営をしていました。アパートは全5部屋で、満室稼働という状況です。Cさんは給与所得が650万円あり、アパート経営からの不動産所得も300万円ありました。
そのため、合計所得は950万円になり、税率も上がり納税額も上がってしまいます。そのため、一部の部屋を空室にして「不動産所得は130万円」として申告しました。しかし、管理会社に税務調査が入ったことで、4年に渡り減額して申告していたことが発覚してしまうのです。

当然ながら、4年間の「本来支払うべき税金」に対して、過少申告加算税だけでなく、悪質と判断され重加算税が課せられました。このように、過去に行った過少申告も遡って追徴課税が発生した事例もあります。

個人的な経費を計上していた事例

次に、都内に複数の区分マンションと一棟アパートを保有するGさんの事例です。Gさんは保有する物件数が多いこともあり、多少経費を水増ししてもバレないと思い、以下の経費を計上しました。

  • 私的なゴルフに関する費用
  • 私的な飲食代の費用
  • 私的に利用する車の購入費用

上記は税務調査で発覚した費用ですが、結果的に過去に渡って3年間で「合計450万円の水増し」があったと判断されてしまいます。そのため、3年間分の確定申告を修正し、本来支払うべき税金に過少申告加算税と重加算税が課せられたという事例です。

まとめ

このように、不動産投資における節税と脱税は、特に経費の部分が紙一重といえます。家賃収入を減額して申告することは明らかに故意的ですが、経費に関しては「交通費」や「車の購入費用」などは判断が難しいことは確かです。
そのため、迷ったら税理士に相談し、脱税とみなされないようにきちんと確定申告をしましょう。

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■監修者プロフィール

藤田税理士写真-e1575023511583-246x300 不動産投資における脱税とは?徳井さん事例に学ぶ節税・脱税の違い

 

藤田 章 <税理士(日本・米国)・行政書士・宅地建物取引士>

日本長期信用銀行(現 新生銀行)、税理士法人朝日中央綜合事務所を経て、現在、千代田区六番町(最寄り駅:四ツ谷駅)で開業。
税理士の資格のほか、米国税理士、行政書士、宅地建物取引士を保有するなど、幅広な分野に関して相談可能です。

藤田章税理士・行政書士事務所

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不動産投資TIMES(プロパティエージェント)編集部

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