不動産投資における売却タイミングとは

What is the sale timing in real estate investment

不動産投資を始めてみたはいいものの、そのまま運営を続けるか物件を売却してしまうかで迷っている投資家の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、そのような悩みを抱えている方に向けて、売却の判断のポイントについて解説します。

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投資物件の運用方法

不動産投資において、投資物件を運用して得られる収益は大きく二つあります。一つはインカムゲイン、もう一つはキャピタルゲインです。

インカムゲイン

■インカムゲインとは

インカムゲインとは運用益とも呼ばれ、資産を保有することで得られる収益を指します。身近な例を挙げると、銀行に預貯金を預けることによって得られる利息もインカムゲインの一つです。不動産投資の場合には、家賃収入がインカムゲインに該当します。なお、投資一般で広く使われる言葉で、株式投資であれば配当金、債券投資であれば利子がインカムゲインにあたります。

■インカムゲインのメリット、デメリット

不動産投資のインカムゲインには、長期的かつ安定的な定常収入を得ることができるという特徴があります。家賃収入は1戸あたりの金額はそれほど莫大な金額ではないものの、物件を持ち続けている限り常に収入を期待することができます。また、家賃は多少の変動こそあるものの、物件価格ほど大きくは変動しません。そのため、安定した額の収入を得られるという点も特徴の一つです。

一方で、インカムゲインのみを狙った不動産投資では諸経費と空室リスクを考慮しなければなりません。リフォーム費用などの維持費は経費の最たるもので、インカムゲインの水準を維持するためには必要な出費となります。同様に、不動産投資ローンを利用している場合には月々のローン返済が経費となり、投資計画次第では赤字に陥ってしまう場合もあります。さらに家賃収入という性質上、空室が発生した場合にはその物件からは全く収入を得られなくなってしまう危険性があります。

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キャピタルゲイン

■キャピタルゲインとは

キャピタルゲインとは、保有している資産を売却した際に生じる、購入時と売却時の価格差による収益です。例えば100万円分の株式を購入し130万円で売却した場合には、130-100=30万円がキャピタルゲインとなります。不動産投資でも、物件を売却した際に得られる売却益がキャピタルゲインにあたります。なお、安く買って高く売却した際の値上がり益をキャピタルゲインと呼ぶのに対し、購入時よりも安い価格で売却し損失が出た場合にはキャピタルロスと呼びます。

■キャピタルゲインのメリット・デメリット

キャピタルゲインでは、一度に大きな額の収益を上げられる可能性があります。良い物件を選び、適切なタイミングで売却するという難しい判断が求められますが、成功すればインカムゲインを主軸とした投資よりも多くの利益を得られるかもしれません。

一方で、キャピタルゲインを狙った投資では資産価値の減少がリスクとなります。戦後の日本では土地の価格は右肩上がりに上昇してきたため、土地を保有すれば大きな値上がり益を期待することができました。しかしバブルが崩壊して以降は好条件の物件でしか値上がりは期待できなくなり、むしろ資産価値が減少するリスクの方が高まっています。

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不動産投資におけるインカムゲインとキャピタルゲインにも、それぞれメリットとリスクが存在しています。近年ではインカムゲインを主軸にして不動産投資を行う方が増えていますが、その場合でもキャピタルゲインを選択肢として知っておく必要があります。

 

物件売却の誤った考え方

最大限のキャピタルゲインを得るためには、どのようなタイミングで物件を売却すれば良いのでしょうか。ここでは物件売却の誤った考え方を紹介します。

購入時の価格と売却時の価格を単純に比較する

最も起こりがちな失敗は、購入時の物件価格と売却時の価格を単純に比較してしまうことです。購入時と売却時の価格のみを比べることは一つの判断材料にはなりますが、それだけで判断するのはむしろ不適切と言えます。

まず、物件の購入時には物件価格それ自体だけではなく、仲介手数料や各種税金なども支払っているということを忘れてはなりません。これらの諸費用と合算すれば、結果としてあまり利益を得ていないという場合も考えられます。

また、そもそも物件の購入から年月が経てば、売却価格は購入時の価格より少なくなってしまうのが一般的です。しかし、そのような状況でも売却するべき場合は多くあり、売却額が安いからといって売却しないでいると最適なタイミングを逃してしまいかねません。したがって、単純な価格の比較では、売却タイミングを判断することはできないのです。

売却時のキャッシュフローを考えていない

同様に起こりがちな失敗は、売却時のキャッシュフローを考慮できていないまま売却するという失敗です。具体的な例を用いて考えてみましょう。

年間のキャッシュフローが500万円(税引後)の物件を考えます。この物件の現在のローン残高は1億7000万円であり、今売却すれば2億円の値がつき、4年後に売却した場合は1億8000万円での売却となると仮定します。売却に必要な経費を1000万円とすると、今売却した場合には2億円-1億7000万円-1000万円=2000万円の収益を得ることができます。

一方、今は売却せずに4年後に売却した場合、毎年500万円ずつ、4年で合計2000万円のキャッシュフローを得られます。ここで考慮するべきなのが、4年後にはローン残高も減っているということです。仮に毎年400万円を返済しているとすると、4年間では1600万円残債が減り、1億5400万円ということになります。つまり、売却時のキャッシュフローは1億8000万円-1億5400万円-1000万円=1600万円となり、家賃収入と合わせて考えると2000万円+1600万円=3600万円となります。

このように、今売却した場合のキャッシュフローと保有時のキャッシュフローのみを比較して考えると誤った判断をしてしまう可能性があります。その際の売却価格の変化だけではなく、ローン残高の変化や税額の変化などにも注意しましょう。

 

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物件の売却のタイミングを見極める方法

それでは、物件を売却するタイミングを考える際にはどのような点を考慮する必要があるのでしょうか。もちろん考えるべきポイントは多数ありますが、その中でも代表的なものをいくつかご紹介します。

不動産市場全体の市況

第一の判断材料は、不動産市場全体の市況です。不動産市場における土地やマンションなどの価格変動は思いの外大きく、近年ではリーマンショックに際して大きく下落し、その後東京オリンピックに向けて少しずつ上昇しています。当然、不動産市場が好況の時に売却した方が高く売却できる可能性が高くなります。不動産の売却には時間がかかるため、市場予測を踏まえてベストなタイミングで売却できるように計画的に判断しましょう。

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季節

第二の判断材料として、季節による違いが挙げられます。物件の需要が高くなる時期、つまり引越しのシーズンに合わせることでより高い価格での売却が見込めます。日本においては4月と9月、特に4月に人の移動が発生するため、2月から3月にかけて売却額が高くなる傾向にあります。そのため、1月頃から売出しを開始し、2月から3月頃に売却できるようにすると良いでしょう。逆に4月になると新生活が始まり引越しの需要が少なくなるため、売りにくくなる点にも注意が必要です。

築年数

築年数も一つの目安になります。マンションの場合、購入してからは経年劣化により基本的に価格は下落していくものの、築15年程度までは下落率はそこまで高くありません。一方、築15年を超えると一気に価格の下落が進み、築25年を超えたあたりから再び緩やかな下落に戻るという傾向があります。そのため自身の物件の築年数を確認し、急激に価格が下落する時期を避けて売却するようにしましょう。

税金

最後に紹介するのは、税金の観点から考えた売却のタイミングです。物件を売却する際にかかる所得税・住民税は物件を所有していた期間によって異なります。具体的には、譲渡の年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡となり税額が高く、5年を超えていた場合は税額が低くなります。短期譲渡所得の場合、所得税が30%、住民税が9%課されます。一方、長期譲渡では所得税が15%、住民税は5%となります。そのため、税金の観点からは、所有期間が5年を超えているかという点が一つのポイントになります。

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物件売却の流れ

最後に、具体的な物件売却の流れについて解説します。物件の売却は大きく以下の五つのステップに分けることができます。

1.不動産会社での査定

上述したような観点から物件を売却するタイミングを決めたら、不動産会社に物件の査定を依頼します。物件の査定には簡易査定と現地査定との二種類がありますが、まずは簡易査定を複数の不動産会社に依頼し、各不動産会社の査定額を比較してみましょう。この手間をかけるだけで、より高い価格で売却できる可能性が高まります。

2.媒介契約の締結

提示された査定額をもとに売却する不動産会社を決めた後は、その不動産会社と媒介契約を締結します。これはその不動産会社が買主を探し、売買を仲介することを契約するものです。媒介契約には一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の三種類があり、それぞれに特徴があるため、事前にしっかりと調べておきましょう。

3.買付申込

不動産会社と媒介契約を締結すると、不動産会社は物件を探している人への紹介・広告により物件の買主を探します。その物件を購入したいという人が現れると、買付申込が入ってきます。この際、手付金の割合やローン利用の有無、契約から引き渡しまでのスケジュール感なども確認しておきましょう。

4.売買契約の締結

物件の売却が決まると、売買契約を締結します。購入の場合には、契約の前に重要事項説明を聞く必要がありますが、売却の場合には基本的に売買契約署に署名と捺印を済ませるだけで契約を締結することができます。

5.決済と引き渡し

売買契約を締結すると、いよいよ物件の引き渡しとなります。手付金を除いた残金が入金され、その確認をして物件を引き渡します。ローンが残っている場合には、事前に一括で返済しておくか、引き渡し日に支払われる残金を利用して一括返済を行うかして抵当権を抹消します。

 

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まとめ

不動産投資は家賃収入を主軸にしたインカムゲインの投資ですが、不動産売却によるキャピタルゲインも投資の重要な要素です。売却判断のための知識を得ておけば、不動産投資の柔軟性は間違いなく高まります。現在不動産投資を行っている方は、自身の物件の売却価格と家賃収入などを計算し、売却を視野に入れた投資を意識してみてはいかがでしょうか。

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