不動産投資における「リスクプレミアム」とは?

不動産投資における「リスクプレミアム」とは?

「リスクプレミアム」という言葉をご存知でしょうか。私たちは経験上、普通預金の利率と株式投資や不動産投資の利率が異なることを知っていますが、このような投資商品ごとの期待利回りの差を説明するのがリスクプレミアムという概念です。今回は、不動産投資にリスクプレミアムという概念をどのように活かすことができるかを考察してみましょう。

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リスクプレミアムとは

そもそも、リスクプレミアムとはどのような概念なのでしょうか。

リスクプレミアムの考え方

リスクプレミアムとは、株式投資や不動産投資などの一定のリスクのある投資に対して、投資家がそのリスクに応じて期待する超過収益(上乗せ収益)のことを指しています。

この説明だけではわかりにくい部分もあるかと思いますので、具体例を用いて考えてみましょう。

ここではAとBの二つの投資先を考えます。AとB、ともに利回りは1%であるとします。Aの投資先は価格の変動なども少なく、リスクがほとんどないのに対し、Bの投資先は価格の下落のリスクなどがある場合、利回りがともに1%であれば合理的な投資家は全員がAの投資先に投資をすることになります。

そのため、リスクを伴わないAの投資先とリスクの伴うBの投資先とを投資家にとって同じ条件(無差別な状態)にするためには、

Bの投資先の利回り>Aの投資先の利回り

とさせる必要があります。この左辺と右辺との差は価格下落のリスクを投資家に取らせるための上乗せ分であり、この部分をリスクプレミアムと呼ぶのです。

実際の投資では、Aの投資先のようなリスクがほとんどない投資先としては長期国債など、Bの投資先のようなリスクのある投資先としては株式などがそれぞれの具体例として挙げられます。例えば、株式投資の期待収益率が3%、長期国債の利回りが1%の場合であれば、リスクプレミアムは3%-1%=2%となります。

リスクフリーレートとは

リスクプレミアムを考えていくにあたっては、「リスクフリーレート」という概念についても理解しておく必要があります。

リスクフリーレートとは、無リスク金利とも呼ばれており、リスクがゼロ、またはリスクが極めて小さい無リスク商品によって得ることができる金利のことを指しています。この無リスク商品とは元金の支払いが保証されている銀行での預貯金や国債などの金融商品、インターネットバンクなどの短期金融商品などが該当し、一般的にはリスクフリーレートというとコールレートや国債の利回りなどを指します。

リスクフリーレートの概念を理解すると、リスクプレミアムがより理解しやすくなります。先述した内容と重なる部分もありますが、リスクのない投資先に投資せず、株式など一定の価格の変動リスクがある投資先に投資するということは、大きな値上がりも期待できる一方で大幅な値下がりとなる可能性もあり、そのリスクを受け入れたということを意味します。そのため、リスクフリーレートとリスクのある投資先での利回りの差が、リスクがあることによる上乗せ分の利回りということになり、

リスクプレミアム=ある金融商品の期待収益率-リスクフリーレート

という式が成り立つのです。

ここで言う期待収益率とは、ある資産についてそれを運用することで獲得することが期待できる平均的な収益率のことであり、投資家がそれぞれの投資商品に対して求める収益性のことを指しています。

リスクプレミアムについて考えるメリット

それでは、リスクプレミアムについて考えることでどのようなメリットがあるのでしょうか。

キャップレートという考え方

はじめに、リスクプレミアムという考え方が投資一般においてどのように役立つのかを考えてみましょう。

リスクプレミアムを直接的に投資に活用することはあまりありませんが、リスクプレミアムはキャップレートという指標を求める際に活用することができます。

キャップレートとは、「Capitalization Rate」を略した言葉であり、還元利回り、収益還元率、NOI利回りなどとも呼ばれています。キャップレートは、投資額に対して年間で何%の利回りを期待するべきかを示しています。

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キャップレートの求め方

キャップレートには様々な求め方が存在しています。以下、それぞれの求め方について簡単に紹介します。

類似の不動産の取引事例との比較により求める方法

一つ目は対象となる不動産と類似する不動産の取引事例をもとにしてキャップレートを求めるという方法です。取引事例でのキャップレートから取引時期や地域的な要因、個別的要因やその他の取引事情を考慮して補正を行います。この方法は対象となる不動産と類似の不動産の取引事例のキャップレートを豊富に収集できる場合に有効です。この方法では市場の実勢をキャップレートにも反映させることができますが、逆に市場の価格の影響を強く受けてしまうというデメリットもあります。

借入金と自己資金に係るキャップレートから求める方法

二つ目は借入金と自己資金それぞれのキャップレートから全体のキャップレートを求めるという方法です。対象となる不動産を取得する際の借入金と自己資金、それぞれに係るキャップレートから割合に応じて加重平均を求め、全体のキャップレートを算出します。

この方法ではそれぞれの資金調達先の金融市場の動向を反映できるという特徴があります。

土地と建物に係るキャップレートから求める方法

三つ目は土地と建物、それぞれに係るキャップレートから全体のキャップレートを算出するという方法です。対象不動産に建物と敷地とが含まれている場合、それぞれに係るキャップレートから割合に応じて加重平均を求め、全体のキャップレートを計算します。

不動産投資では土地と建物は一体として収益を出すものであり、土地と建物それぞれのキャップレートを考えることが困難であるなどの理由から、現在ではこの方法はあまり使用されなくなっています。

割引率との関係から求める方法

四つ目は割引率とキャップレートとの関係性をもとにして対象となる不動産のキャップレートを求めるという方法です。この方法ではキャップレートが将来の収益の変動可能性などを考慮している一方、割引率ではそれらの点を考慮していないことに着目しています。割引率の詳細な計算方法などは省略しますが、割引率から純収益の変動率を引くことでキャップレートを求めることができます。

以上の四つが、国土交通省が不動産鑑定評価基準として定めているものです。実際の実務上では、一つ目に紹介した類似の不動産の取引事例との比較により求める方法に加え、以下に紹介する方法を併用しながらキャップレートを算出するケースがあります。

不動産投資の基本利回りに各不動産の個別性を考慮して求める方法

追加的な方法とは、リスクプレミアムを活用してキャップレートを求める方法です。不動産投資の基本利回りと各不動産の個別性により加わる利回りとを足し合わせることで、キャップレートを算出します。

ここで不動産投資の基本利回りとは、不動産投資に特有のリスクが最も少ない不動産に投資する場合の利回りのことであり、リスクフリーレートに置き換えることもできます。また、各不動産の個別性による利回りの違いが、リスクプレミアムのことを表しています。つまり、

キャップレート=リスクフリーレート+不動産投資のリスクプレミアム

という計算式によりキャップレートを求めているのです。

このように、リスクプレミアムを考えることはキャップレートという不動産投資を行う上で重要な指標を考えることに役立つのです。

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不動産投資におけるリスクプレミアムに関する考察

続いて、不動産投資におけるリスクプレミアムについて考えていきます。

不動産投資においては、二種類のリスクプレミアムが想定されます。一つ目は不動産一般のリスクプレミアム、二つ目はそれぞれの物件に固有のリスクプレミアムです。

不動産一般のリスクプレミアム

はじめに不動産投資一般のリスクプレミアムとは、すべての不動産投資に共通して存在するリスクプレミアムのことです。見方を変えると、通常のリスクフリーレートと不動産投資一般のリスクプレミアムを足し合わせることで、不動産投資におけるリスクフリーレートになると考えることもできます。

物件固有のリスクプレミアム

上述した不動産一般のリスクプレミアムに加え、それぞれの物件に固有のリスクプレミアムも存在します。物件によってそれぞれの固有の条件があるため、投資におけるリスクも物件によって異なり、結果としてリスクプレミアムも物件ごとに異なるのです。

物件固有のリスクプレミアムを決定する要因は多数あり、その中でも代表的ないくつかの要因を以下に挙げます。

エリア

エリアはリスクプレミアムを決定する最大の要因の一つです。対象となる物件の周辺地域にて再開発等が計画されている場合は大きな需要の増加が見込めます。一方、特に再開発等の計画がなく、賃貸需要が減少し続けている地域などでは将来的な利回りの低下が予想されますので、必然的にリスクプレミアムは大きくなります。

建物のスペック

建物のスペックもリスクプレミアムに大きな影響を与えます。一つ目の観点として、対象の建物が周辺地域の中でどの程度の競争力を持っているかという点が挙げられます。規模の大きさ、建物のグレードやその他の魅力等、他の物件と建物と差別化を図れるかが重要です。

二つ目の観点としては築年数が挙げられます。年数の経っている物件ほど、将来的に予測不確実な修繕費などが発生するリスクがあるため、リスクプレミアムは大きくなります。

用途

リスクプレミアムを考える際には用途に関しても考慮が必要です。エリアや建物の特徴ごとに需要の大きい用途は異なりますし、各用途によって収益が変動する要因は異なりますので、その予測不確実性もリスクプレミアムに影響します。また、用途を変更する際の困難性なども考慮に入れる必要があります。

このように、不動産投資においてリスクプレミアムを考える際には、不動産一般に共通するリスクプレミアムと、それぞれの物件ごとに異なるリスクプレミアムとを区別して考えることが必要です。

まとめ

今回は不動産投資におけるリスクプレミアムについて解説しました。不動産投資の場合、不動産投資全体のリスクプレミアムに加え、物件個別の性質や立地に由来するリスクプレミアムを加味する必要があります。キャップレートを用いた投資判断のためにリスクプレミアムの理解を欠かすことはできません。これをきっかけに、リスクプレミアムやキャップレートに基づいた投資判断に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

平松 裕紀

プロパティエージェント㈱アセットプランニング部 次長 10年間で約300件の契約実績を誇る。約75億円の取引に携わる。 現在は、会社のビジョンに向けてグループの運営を行う。 商談に直接参加するのはご紹介と定期的な既存顧客のプランニングが メインとなる。 お客様の大切にされている価値観から課題を抽出、解決し、より良い新たな人生に導く。