解説!不動産の売却タイミングはどうやって知る?

解説!不動産の売却タイミングはどうやって知る?

不動産投資を行う際には、投資物件をいつ、いくらで売却するのかが極めて重要です。

「不動産を買ったはいいけれど、売却のタイミングが分からない……」

こんな悩みを持つことのないように、今回は、不動産投資の出口戦略について解説します。

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不動産投資には「出口」が必須

不動産の売却は不動産投資の終着点でもあります。しかし終着点であるからこそ、そのタイミングを計る物差しと売却に踏み切る判断基準を学ぶ機会はそうありません。しかし実際には、それらの基準は物件選びを行う時点で持っておくべきだと言われています。まずは出口戦略の重要性について理解しておきましょう。

インカムゲインとキャピタルゲイン

まずは不動産売却について理解しておきましょう。不動産投資でお金を増やす方法は二種類あり、不動産の売却はこのうちの一方である「キャピタルゲイン」に属します。他方には家賃収入で利益を得る「インカムゲイン」があります。この二つの収益構造をおさらいしておきます。

インカムゲイン

家賃収入による利益回収をインカムゲインと呼びます。家賃収入は不労所得であり、一度部屋を誰かに貸してしまえば自動的にお金が振り込まれていきます。

例えば、毎年500万円の家賃収入があるとしましょう。このとき、銀行への毎年の返済額が200万円、管理委託費用・税金などの諸経費で50万を支払っている場合、

500 − (200 + 50) = 250 (万円)

この250万円が一年間のインカムゲインとなります。

インカムゲインによる収入は入居者がいる限り安定して続きます。したがって、インカムゲインによる収益確保で、最も注力すべきは「物件を購入してから人に貸すまで」と言うことができます。その後もメンテナンスや入居者の入れ替わりなど、気を使うべき場面は続きますが、一度入居者を得ればしばらくは安定した経営状況が続いていきます。

キャピタルゲイン

不動産を安く買って高く売り、売却益を得る方法をキャピタルゲインと呼びます。今回のメインテーマである不動産売却は通常キャピタルゲイン方式の利益獲得手段です。

最も単純化すれば、3,000万円の物件を購入し、4,000万円で売却することで差額である、1,000万円のキャピタルゲインを得ることができます。しかしこのとき、減価償却累計額という隠れた数字が関わっています。

キャピタルゲインを正確な会計式で表すと

キャピタルゲイン=売却価格-(購入時価格-減価償却累計額)

となります。減価償却とは不動産の経年劣化を反映した価値損耗額のようなものです。正確には、時間の経過や消費により価値が減少する不動産を取得した際に、その耐用年数に応じた支払額を毎年費用計上するという会計上の処理で用いられる数値です。難しい概念に聞こえますが、要するに不動産は老朽化や誰かが住むことによって価値が減っていくので、その価値の目減り分を計算に入れようということです。

先ほどの3,000万円の物件の例で、残りの耐用年数が30年あったとしてみましょう。毎年の減価償却は100万円であり、売却するまでにリフォーム期間と交渉期間で2年間かかったとしてみましょう。この場合、売買差額の1,000万円だけではなく、減価償却分の200万円が加えられ、1,200万円が計算上のキャピタルゲインとなります。

インカムゲイン・キャピタルゲインから見た出口戦略

インカムゲインとキャピタルゲインがどのように出口戦略に関わるか、具体例を通して見ていきましょう。

売却金額が購入金額と同じ場合

以下の条件のもと不動産投資を行うとしましょう。これまでの例と違い、5年間はインカムゲインによる収益を得て、その後キャピタルゲインを得るべく不動産を売却します。この例でのポイントは、物件を購入したときの金額と売却したときの金額が同じであるということです。

物件購入価格:5,000万円

売却価格:5,000万円

表面利回り(物件購入価格に対する家賃の割合):10%

支払利息・運営経費:家賃収入の50%

減価償却費:毎年150万円

売却:購入から5年目

各種税金:考慮しない

これを簡略化した収支表で表すと以下のようになります。

(万円)期首1年目2年目3年目4年目5年目累計額
家賃収入05005005005005002,500
支払利息・運営経費02502502502502501,250
減価償却費0150150150150150750
インカムゲイン0100100100100100500
キャピタルゲイン00000750750
物件価格5,000    5,000 

 

インカムゲイン累積額は

家賃収入−(支払利息・運営経費+減価償却費)

2,500 − ( 1,250 + 750 ) = 500(万円)

キャピタルゲインは

売却価格-(購入時価格-減価償却累計額)

5,000 – ( 5,000 – 750 ) = 750(万円)

これらのことから物件所有してから売却するまでのインカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)を合わせた総利益は以下のようになります。

インカムゲイン累計額+キャピタルゲイン=総利益

500万+750万=1,250万

もし、5年目ではなく3年目に同じ価格で売却していればインカムゲインは300万円、キャピタルゲインは450万円となり、総利益は750万円と大きく減ってしまいます。逆に、長く持ちすぎて売却価格が落ち込んでしまっても、キャピタルゲインがマイナスに落ち込んでしまいます。

このように、不動産投資を行う際はインカムゲインだけではなく、キャピタルゲインも想定することで大きな利益が望めます。一方、売却価格が購入価格を大きく下回ってしまうと、キャピタルゲインがマイナスとなり、せっかくの収入であるインカムゲインと合わせても赤字に陥ってしまう場合も考えられます。

このため、購入した物件をいつまで保有するのか、売却する場合いくらの値段が期待できるのかについて、出口戦略を描くことは極めて重要です。家賃収入のインカムゲインだけを考慮していては、不動産投資の真の成功を手に入れることはできません。

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売り時はいつか?

出口戦略の重要性を理解したところで、実際に何を基準として売却に踏み切ればいいのかという疑問を解消していきましょう。売却を決めるための指標は多くありますが、今回は特に重要視される四つのポイントを紹介していきたいと思います。

不動産市況

一つ目のポイントは、市場価格の状況をもとに売却のタイミングを探ることです。

不動産は株式市場など他の投資ほど市況が短時間で急激に上下しないものの、価格は常に変化していす。特に首都圏では年や地域によって大きく上昇することも期待できます。そのため、売却する時期の市場価格を予想しておくことが重要となります。

以下のグラフは、首都圏の中古マンション70㎡価格を年間平均推移で表したものです。

146_挿入グラフ 解説!不動産の売却タイミングはどうやって知る?

 

※出典:マンション価格は東京カンテイより

2008年から2009年はリーマンショックにより急激に価格が落ちていますが、2013年以降順調に価格が伸びてきているのが見て取れます。2014年から2015年には7.7%、2015年から2016年には13.2%と市場全体が伸びていることがわかります。

この調子が続けば、おそらく東京オリンピックまで価格が上昇することが予想できますが、市場には波があるのでいつをピークに価格が落ちるかはわかりません。

そのため、上り調子である今のような状況で売却に転じるのも一つの戦略かもしれません。

季節

不動産市況の説明では、年平均のデータを用いましたが、当然月ごとにも価格やニーズが変化します。

特に引っ越しが増えるのは年度末となる3月で、大学入学、転勤、学年の切り替わり、新入社員が新しい住居に住み始める時期です。3月と同じ理由により4月もまた引っ越す人数が多く、それ以降の月では横ばいが続きます。

そこで、マンションや他の居住を目的とする物件の売り出しは、1月から売り出しを開始し、2月から3月を狙って売却するのがオススメです。特に、3月はギリギリまで決まっておらず、条件にこだわらずに住居を求める買い手もいるので、高値で売れる可能性があります。

築年数

第三のポイントは築年数が売却タイミングに与える影響です。

キャピタルゲインの解説でも紹介したように建物は時間の経過と共に価値が下がり、早く売るほど高い金額で売却することができます。

実際の建物の価値は法定の耐用年数と不動産鑑定士が下す評価によって変わりますが、基本的に木造建築であれば築20年ほどで建物自体の価値はなくなってしまいます。

建物の建つ土地の値段は別にあり、地域ごとの土地価格の変動によって決まります。ただし、首都圏では近年土地価格の上昇が見受けられる地域もあります。一方で地方においては人口流出などの影響もあり価格が徐々に下降する傾向が見られます。

また、木造建築なら築20年以上、RC造などの耐火建築物なら築25年以上を迎える前に売却を検討しましょう。それらの年数を迎えてしまうと、税制上の軽減措置や控除の条件が以下のように変化してしまうというデメリットが生じます。

  • 所有権移転登記の税率が0.3%から2.0%へ
  • 抵当権設定登記の税率が0.1%から0.4%へ
  • 住宅ローン控除が適用されなくなる

これらのデメリットから、買い手にも嫌煙されてしまうため、それぞれの年数に達する前に売却に踏み切ることを心がけましょう。

税制

最後に紹介するポイントが税制になります。

個人が不動産を売却し得られる利益は譲渡所得の発生と見なされるため、所得税の対象となります。この際の所得税の額は不動産を所有していた期間によって変化する特殊なものです。

所有期間による所得税は以下のようになります。

所有期間所得税住民税
5年以下30%9%
5年超え15%5%
10年以上の居住用財産
課税譲渡所得の内6,000万円以下の部分
10%4%
10年以上の居住用財産
課税譲渡所得の内6,000万円超えの部分
15%5%

 

税率は大まかに二つの5年以下の短期譲渡所得と5年超えの長期譲渡所得に分けることができます。

ただし、売った不動産が住居用財産であれば、所有期間が10年を超えていた場合にさらに税率が下がります。とはいえ、住居用財産の売却の場合3,000万円が譲渡所得から控除されるという特例があるため、そちらの条件に当てはまる場合は税制を重きに置く必要はないかもしれません。

 

売買・家賃相場、投資情報を得る!

以上のように、不動産売却を行うタイミングは色々なポイントを総合的に判断して決定します。それゆえ、判断を下すためには年単位や季節単位、物件の現在の評価額など、多数の情報が必要不可欠です。そうした総合的な情報を収集するのは個人投資家には困難なことのように思われるかもしれません。

そこで、最後に情報源の一つとして参考にできるサイトを紹介しておきます。

「ふじたろう」 https://www.fujitaro.com

「ふじたろう」では、不動産の階数・専有面積・方位といった情報を入力すると数々の不動産データをもとにAI(人工知能)が不動産の推定価格と相場を算出してくれます。地域ごとの相場や取引量を地図に色付けして表示してくれるため、視覚的に理解しやすく、色々なサイトを見比べながら自分でデータ算出をする手間を省いてくれます。売却時期の判断のためにも覗いてみてはいかがでしょうか。

まとめ

不動産売却をする際の出口戦略の重要性と、売却タイミングを見計らうのに重要なポイントを見てきました。

不動産の売却時期の決定には、インカムゲインとキャピタルゲインを総合的に判断して、最も利益を得られるタイミングを計算するのが基本です。そのうえで、年単位や季節ごとの市況、さらには築年数による税制の変化などを加味して決定する必要があることも指摘しました。不動産を買う前に売却に至る出口戦略にも考えを巡らし、スムーズに準備を整えられるようにしましょう。

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不動産投資TIMES(プロパティエージェント)編集部

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